脱捨ぬぎすて)” の例文
拔手ぬきても見ずつかとほれと突立れば哀むべし天一は其儘そのまゝ其處へ倒れ伏ぬ天忠は仕遂しすましたりと法衣を脱捨ぬぎすてすそをからげ萬毒ばんどくの木の根をほりて天一が死骸しがい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
屹度きつともなくおなほりでせう。』と、ニキタはまたふてアンドレイ、エヒミチの脱捨ぬぎすてふく一纏ひとまとめにして、小腋こわきかかへたまゝてゝく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
次の月の午時頃ひるごろ、浅草警察署の手で、今戸の橋場寄りの或露地の中に、吉里が着て行ツたおくまの半天が脱捨ぬぎすててあり
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
次の日の午時頃ひるごろ、浅草警察署の手で、今戸の橋場寄りの或露地ろじの中に、吉里が着て行ッたお熊の半天はんてん脱捨ぬぎすててあり
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
『きっともなくおなおりでしょう。』と、ニキタはまたうてアンドレイ、エヒミチの脱捨ぬぎすてふく一纏ひとまとめにして、小腋こわきかかえたまま、ててく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
洋服の先生はかつて磨いた事もないゴム靴を脱捨ぬぎすてて障子を開けて這入はいると、三畳敷の窓の下で、身体からだのきかない老婆ろうばせきをしている。赤児あかごがギャアギャア泣いている。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)