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老紳士
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らうしんし
其處に
居合はせた
禿頭白髯の、
見も
知らない
老紳士に
聞く
私の
聲も
震へれば、
老紳士の
脣の
色も、
尾花の
中に、たとへば、なめくぢの
這ふ
如く
土氣色に
變つて
居た。
禿頭の
佛蘭西の
老紳士が
昔日の
腕前を
見せて
呉れんとバイオリンを
採つて
彈くか
彈かぬに
歌の
曲をハツタと
忘れて、
頭撫で/\
罷退るなど
隨分滑※的な
事もあるが、
大概は
腕に
覺えの
歐米人の
事とて