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翹望
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ぎょうぼう
ふりがな文庫
“
翹望
(
ぎょうぼう
)” の例文
同時に翁のそこまでの苦心とこれに対する一般人士の
翹望
(
ぎょうぼう
)
は非常なものがあったに違いない事が想像されるので、その能が両日に亘り
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
長いこと
附纏
(
つきまと
)
われた暗い秘密を捨てようとする心は、未だそれを捨てもしてない前から、既にもうこうした
翹望
(
ぎょうぼう
)
を起させた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
翹望
(
ぎょうぼう
)
を持つ——女達が風呂に出はらった後の昼間の女給部屋で、ルナチャルスキイの「実証美学の基礎」を読んでいると、こんな事が書いてあった。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「今はまだ攘夷の時ではない」という、「攘夷説に拠ってまず国論民心を統一し」という、これまで秀之進が
翹望
(
ぎょうぼう
)
していた気持からすると
迂遠
(
うえん
)
きわまるはなしだ。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私は必ずしもこの評判を
鵜
(
う
)
のみにはしないが、伝統の否定、将棋の場合では定跡の否定、升田七段その人を別に、漠然たる時代的な
翹望
(
ぎょうぼう
)
が動きだしているような気がする。
大阪の反逆:――織田作之助の死――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
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うち開けた広々した生活を
翹望
(
ぎょうぼう
)
し、魂の満々たる大気を翹望し、しかもなおそれを恐れ、自分の本能が自分の運命と一致し得ずに、運命をなおいっそう悲しいものにするので
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しからば今後はおもんみるに、腕にはあらで人格をもって、進取開放とは反対に、国粋保守の政治を行う、さようの人をこそ
翹望
(
ぎょうぼう
)
するものと、愚考いたされまするでござります。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
同じであったならそれでよし、若し異っていたら、男性の
創
(
つく
)
り上げた文化と、女性のそれとの正しき抱擁によって、それによってのみ、私達凡ての
翹望
(
ぎょうぼう
)
する文化は成り立つであろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それだのに、その新しい・きびしいものへの
翹望
(
ぎょうぼう
)
は、いつか快い
海軟風
(
かいなんぷう
)
の中へと融け去って、今はただ夢のような安逸と怠惰とだけが、
懶
(
ものう
)
く
怡
(
たの
)
しく何の悔も無く、私を取り囲んでいる。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
資本主義の精神と制度とが勢力を持っている今日において、このような文化生活を
翹望
(
ぎょうぼう
)
することは空中の楼閣にも比すべき幻想として一笑に附せられるでしょう。しかし私は予言します。
階級闘争の彼方へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そうした「泣かせ方」が、今後、読書階級の
翹望
(
ぎょうぼう
)
を満す喜びの泉となるだろう。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
が、所詮これも、我々のただ夢のようなる
翹望
(
ぎょうぼう
)
と申すべきでありましょう。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
これ等の諸点に
鑑
(
かんが
)
みて、私は、
茲
(
ここ
)
に、子供研究社創刊の童話雑誌「お話の木」を主宰するに当たり、多年
翹望
(
ぎょうぼう
)
したる好機として、真の児童文化のために起ち、全力を之に致さんことを誓います。
『お話の木』を主宰するに当たりて宣言す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こうして、何だか自分でもはっきりしないものを
翹望
(
ぎょうぼう
)
して旅をつづけて来た流人達は、一度セエヌの谷へ這入るや、呪縛されたようにもうそこからは動こうとしない。
巴里
(
パリー
)
は魅精を
有
(
も
)
つからだ。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
万人の
翹望
(
ぎょうぼう
)
する上流階級の特権なるものは皆この悪魔道に関する特権に外ならず。人類の日常祈るところの
核心
(
もの
)
は皆、この外道精神の満足に他ならず。
悪魔祈祷書
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その遠くて近いような
翹望
(
ぎょうぼう
)
をまだ経験の無い胸にもって、捨吉は半分夢中で洗礼を受けた高輪の通りにある教会堂からも、初めて繁子や玉子に逢った浅見先生の旧宅からも
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人類にたいする愛、諸国民や諸民族の親和にたいする
敬虔
(
けいけん
)
な
翹望
(
ぎょうぼう
)
——それをこれらの青年らは何たる盲目な
暴戻
(
ぼうれい
)
さをもって
冒涜
(
ぼうとく
)
してることだろう! われわれが征服したあの怪物を愛惜し
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
漠然たる時代的な
翹望
(
ぎょうぼう
)
が動きだしてゐるやうな気がする。
大阪の反逆
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
明け暮れ
翹望
(
ぎょうぼう
)
し、渇望して止まなかった精神解剖学、精神生理学、精神病理学、精神遺伝学なぞというものを包含している事が明らかに認められるので
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こういう
翹望
(
ぎょうぼう
)
は、あだかもそれが現在の歓喜であるかの
如
(
ごと
)
くにも感ぜられた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は自分の熱情に眼を
眩
(
くら
)
まされていた。霧のために、貧血症に
罹
(
かか
)
ってる虚偽のために、「太陽のない幽鬼的観念」のために、凍らされたような気がしていた。一身の力をしぼって太陽を
翹望
(
ぎょうぼう
)
していた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
社会組織を
翹望
(
ぎょうぼう
)
する維新の革命を生んだ事実は、誰しも否定し得ないところであろう。
甲賀三郎氏に答う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こういう
翹望
(
ぎょうぼう
)
はあだかもそれが現在の
歓喜
(
よろこび
)
であるかの
如
(
ごと
)
くにも感ぜられた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あるいは、孤立した若い人々で、困難な生活をし、達せられるかどうか自分でもわからないある理想を、一身をあげて
翹望
(
ぎょうぼう
)
していた。そしてクリストフの親愛な魂を、むさぼるように吸い込んでいた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
何時来るとも知れないような遠い先の方にある春。唯それを
翹望
(
ぎょうぼう
)
する心から、せっせと怠らず仕度しつつあった彼のような青年に取っては、ほんとうに自分の
生命
(
いのち
)
の延びて行かれる日が待遠しかった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“翹望”の意味
《名詞》
翹 望(ぎょうぼう)
首を長くすること。強く待ち望むこと。
(出典:Wiktionary)
翹
漢検1級
部首:⽻
18画
望
常用漢字
小4
部首:⽉
11画
“翹望”で始まる語句
翹望者