義侠ぎきょう)” の例文
夫人から見張られていなかったら、少しは義侠ぎきょう心を起こしたかもしれなかった——がもとより、見張られてることを苦にしてもいなかった。
友を救うためには、自己じこ危難きなんをかえりみるべきでない、義侠ぎきょうの血をうけた富士男の意気いきは、りんぜんとして五体にみちた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
悪く思わないでくれと確かにそういった、その義侠ぎきょうらしい口車くちぐるまにまんまと乗せられて、今まで殊勝な女だとばかり思っていた自分の愚かさはどうだ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それでけりだ……なんだっておれは義侠ぎきょうぶって、余計な口出しをしたのだろう! おれなどが人を助けるがらかい? おれに助ける権利があるのか? なあに
之は、ロビンフッド的な義侠ぎきょう行為と見做みなされ、島民一般の喝采かっさいを博した。勿論、商会側も黙ってはいない。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
私は繋獄けいごくの身となるもゆることがない、ついては若干じゃっかんの金を得て老母の養老金にしたいと頼まれ、わが輩一ぺん義侠ぎきょう、これをいなむにしのびず、彼のために出金しゅっきんした
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
自由の恩恵は蒙古もうこ人種にもなお及ぶことを得るや否やと疑惑し、黄人種の朋友をもって任ずる義侠ぎきょうの白人は日本の将来ははたして独立国たるを得るや否やと掛念し
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
最後の八番てがらのまんじ騒動のときなどは、せっぱつまって腹までも切ろうとしたところを、右門の情けと義侠ぎきょうであやうく救い出されているんですから、いかに厚顔無恥でも
龍造寺主計の義侠ぎきょうで、もとの経営者東兵衛とうべえの妻女が女中頭に使われていて、挨拶あいさつに出た。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
女性の身でありながら途中の困難な旅をようやくきり抜けて疲れきった体でアルファンを尋ねましたので、彼はその熱心さに感激し、オーストリーの政府に、義侠ぎきょう的にその希望を申し入れたので
キュリー夫人 (新字新仮名) / 石原純(著)
彼と交誼こうぎを結ばん事を望み居たれば、この人によりて双方の秘密を保たんとて、親戚の者より同医にはかる所ありしに、義侠ぎきょうに富める人なりければ直ちに承諾し、己れいまだ一子いっしだになきを幸い
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
日本の政府は、この留学生たちの革命思想に対して、いまのところは、まあ、見て見ぬ振りというような形でいるらしいが、しかし、民間の日本の義侠ぎきょうの士は、すすんでこの運動に援助を与えている。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
父からいうと半分は孤児を救う義侠ぎきょうでしたろう。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
私はこの主人に義侠ぎきょう的な性質のあるのを見た。
自分は何の求むるところもなく、一片義侠ぎきょうの心をもってしたとするも、一方にはそのことたるや偽善ぎぜんからやったとかあるいは慈善ぶっていると非難された経験もあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ああ年代の歴史に書かれたる血腥ちなまぐさき画図や。サルマシヤは罪なきに亡滅したり。しかして泣く者とてはあらず。ほこを揮うてこれを救う義侠ぎきょうの友もなく、不運を憐れみ菩提ぼだいを弔う慈悲ある敵もあらず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)