美作国みまさかのくに)” の例文
「いや、そういうわけなら、すこしでもはやれておいでなさい。ここから美作国みまさかのくにまで行くのでは、たっぷり二日ふつかみちのりだから。」
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
明治二十一年五月十五日、岡山県美作国みまさかのくに真島郡下方村、妹尾与一郎氏方にて一の牝猫を産す。これを名づけてしまという。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
鬼は降伏して被っていた鬼面おにめんを脱いだ。銀之助ぎんのすけ様ととなえていた若者で、穉くて美作国みまさかのくに西北条郡にしほうじょうごおり津山つやまの城主松平家まつだいらけ壻入むこいりした人であったそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ちいせえ時分に両親が死んだゞね、それから仕様がなくって親戚みより頼りもえもんでがすが、懇意な者が引張ひっぱってくれべえと、引張られて美作国みまさかのくにめえりまして
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
法然房の君が、まだ勢至丸せいしまるといったおさないころ、父をうしなってひとり故郷ふるさと美作国みまさかのくにから京へのぼってくる道すがら、さる貴人が、白馬の上から彼の姿を見かけて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしは粂野美作守の家来渡邊という者の娘で、弟は祖五郎と申して、只今は美作国みまさかのくにへまいって居ります、弟にも逢いたいと存じますし、江戸屋敷の様子も聞きたし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
といって、こころよいぬしてくれました。六部ろくぶたいそうよろこんで、しっぺい太郎たろうれて、もういたあしのこともわすれて、どんどん美作国みまさかのくにかっていそいで行きました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それに、美作国みまさかのくにの山奥で生れ、名もない郷士のせがれでは、誰も顧みる者はなかった。尾張の中村から秀吉が出ても、まだまだ世の中は階級を重んじ、血統をてらう風習から少しもけていなかった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかし、諸国しょこくのおてら巡礼じゅんれいしてある六部ろくぶが、方々ほうぼうめぐりめぐって、美作国みまさかのくにへまいりました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
美作国みまさかのくに粂郡くめごおりに皿山という山があります。美作や粂の皿山皿ほどのまなこで見ても見のこした山、という狂歌がある。その皿山の根方ねがたに皿塚ともいい小皿山ともいう、こんもり高い処がある。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)