縁切えんきり)” の例文
長「嘘をいたッて仕方がねえ、わっちが京都で修業をして名人になッたって、己の弟子だと云わねえように縁切えんきり書付かきつけをおくんなせえ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その足で藤間へいらっしゃりゃ、御自分の方が活きた手本になろうてんで、ええ私の仕返しゃ動かねえ縁切えんきりだ。お夏さんがこれから行こうたって行かれやしません、さっぱりして可うございます。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きゝモシ八五郎さん御前に弟はなきはずなるが其弟と申さるゝは今迄何地いづれ御在おいでなされしやと問ければ八五郎はぬからず御前さんの御存じなきも道理もつともなり幼少えうせうの時さとに遣して其儘そのまゝ縁切えんきりになし置しが今にては段々だん/\出世しゆつせして四國の丸龜に於て劔術の師匠ししやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
十分に手当を致し其ののちとうとう縁切えんきりとの事になりましたが、あた十月とつきにすみの産落しましたのが山三郎、それから致して此のおすみには
(ええ、縁切えんきりだ!)
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
繼「はい全くお繼でございます、兄は縁切えんきり此方こちらへ預けられた事は承知して居りますが、只今でも達者で居りますか」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三「相手が甚藏だから其の位の事は云うに違いない、よろしい、其の代り、土手の甚藏が親類のような気になって出這入ではいりされては困るから、甚藏とは縁切えんきりで貰おう」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「何ういう訳で大事の親父おやじをまず捨てゝ、おらが方の田舎へ来てえ、不自由してもと児心こゞころにも思うはく/\だんべえと思うからお呉んなさえ、縁切えんきりでお呉んなさえ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うしてね、お前とは縁切えんきりに成って仕舞ったから、私が出這入りをする訳じゃアないが、縁はれても血筋は断れぬと云うたとえでなんとなく、お前のまよいから此様こんな難儀をする
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふくろぐるみ引取るから心配するなと仰しゃるが、若し悪い者の手に掛れば女郎に売られるか知れやしねえ、ふてい奴だ、縁切えんきりで遣った娘ではねえ、嫁に遣ればしゅうとだよ、おれに一応の話もしねえで
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)