こもり)” の例文
その癖雲霧が立籠めて、昼も真暗まっくらだといいました、甲州街道のその峰と申しますのが、今でも爺さんが時々おこもりをするといういおりがございますって。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
の手燭に点いております蝋燭の灯火あかりを女の前へ置きまして、婦人が顔を上げまするを山三郎が見ますると、三年あと池上のおこもりの日堤方村の茶見世に出て居りました岩瀬主水の娘のお蘭で
「そうそう、明日あすから私も、おこもりでもしようよ。」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
のがれ此にこもりて時を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
わたくしどもは以前、ただ戦争のことにつきましてあれが御祈祷ごきとうをしたり、おこもり、断食などをしたという事を聞きました時は、難有ありがたい人だと思いまして
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こもりをした、千里のさき三年のあとのあとまで見通しだと、人気といっちゃあおかしく聞えますが、また隠居殿の曲った鼻が素直まっすぐになりまして、新聞にまで出まする騒ぎ。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大神宮様のおかげで、繁昌はんじょうをいたしまするが、旧の大晦日おおみそかと申しますと、諸国の講中こうじゅう道者どうじゃ行者ぎょうじゃしゅ、京、大阪は申すに及びませぬ、夜一夜、古市でおこもりをいたしまして、元朝、宇治橋を渡りまして
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)