トップ
>
簷下
>
のきした
ふりがな文庫
“
簷下
(
のきした
)” の例文
それらの使者がいずれも深い
笠
(
かさ
)
をかぶり、帯刀も捨て、自縛して官軍本営の
簷下
(
のきした
)
に立たせられた姿は実にかわいそうであったとか。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大異はそのまま
簷下
(
のきした
)
へ出て月の下を透して見た。そこにも夜叉の姿が見えなかった。夜叉はやはり寺が怖いので逃げたものだろうと思った。
太虚司法伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼は少し離れた
簷下
(
のきした
)
に身を
躱
(
かく
)
してようやく落ち著きを得たが、この落ち著きの中にたちまちひそひそとささやく声が聞えた。
白光
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
秋成は、立ち上つて
覚束
(
おぼつか
)
ない眼で斜めに足の踏み先きを見定めながら
簷下
(
のきした
)
へ湯鑵の水を替へに行つた。疝腫で重い腰が、彼にびつこを引かせた。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
簷下
(
のきした
)
に車の附いた屋台が
挽
(
ひ
)
き込んであるので、そうでなくても狭い露地を、体を
斜
(
ななめ
)
にして通らなくてはならない。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
老師の室の前の
茅葺
(
かやぶ
)
きの
簷下
(
のきした
)
を、合掌しながら、もはや不安でいっぱいになった身体をしいて歩調を揃えて往ったり来たりして、やはり老師さん! 老師さん! を繰返し続けたが
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
大きな雨になったので、坂をあがりつめた処にあった家の
簷下
(
のきした
)
へ
駈込
(
かけこ
)
んでみると、その戸口に
半紙
(
はんし
)
を
貼
(
は
)
ってあるのが見えた。
指環
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
明
(
あかり
)
に透かして見れば、厩のはづれから、向つて左隣の
界
(
さかひ
)
に掛けて、一面の
竹藪
(
たけやぶ
)
である。八は暫く様子を見てゐて、
穿
(
は
)
いてゐた
下駄
(
げた
)
を脱いで、厩の
簷下
(
のきした
)
に置いて、竹藪の中に這入つた。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「太爺!」阿Qは薄笑いしながら
簷下
(
のきした
)
に立っていた。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
許宣は四聖観の
簷下
(
のきした
)
に往って立っていたが、雨は次第に濃くなって来て、
雨隙
(
あめすき
)
が来そうにも思われなかった。空には
微墨
(
うすずみ
)
色をした雲が一めんにゆきわたっていた。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、朝になって
皆
(
みんな
)
より早く起きた老婆が
庖厨
(
かって
)
口の戸を開けてみると、
簷下
(
のきした
)
に一
疋
(
ぴき
)
の獣が死んでいた。老婆の声を聞きつけて新三郎も起きて来た。獣は狐であった。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そんな時には六郎は、馬からおりて家来の者といっしょにその堂の
簷下
(
のきした
)
へ入って雨や風を避けた。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
僧はそのまま
簷下
(
のきした
)
を離れて
路
(
みち
)
へおり、
夕陽
(
ゆうひ
)
の光の中を鳥の飛ぶように
坂上
(
さかうえ
)
の方へ登って往った。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
微曇
(
うすぐもり
)
のした空に宵月が出てぼんやりした光が庭にあった。庭の中程と思う処へ十本ばかりの物干竿が転がっていた。それは家の西側の
簷下
(
のきした
)
に何時も掛けてあるものであった。
宝蔵の短刀
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お作が便所に往っていると、便所の
簷下
(
のきした
)
で背に何かものが負われたように不意に重くなった。お作がその
機
(
はずみ
)
によろよろすると、重いものはずり落ちたようになって体は直ぐ軽くなった。
妖怪記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
どうも雨らしいぞ、と思う間もなく、もう小さな白い雨粒がぽつぽつと落ちてきた。許宣は四聖観の
簷下
(
のきした
)
へ往って立っていたが、雨はしだいに濃くなってきて、
雨隙
(
あますき
)
がきそうにも思われなかった。
雷峯塔物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それを傍の楡の樹に繋いでとかとか
簷下
(
のきした
)
へ往った。
竇氏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
簷
漢検1級
部首:⽵
19画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“簷”で始まる語句
簷
簷端
簷外
簷瓦
簷先
簷口
簷角
簷頭
簷馬
簷曝雑記