穩當をんたう)” の例文
新字:穏当
「如何にも尤も、當方にも間違ひはあつたが、女人が夜中男姿で歩くのも穩當をんたうとは言はれまい。このまゝお引取下さるやうに——」
銭形平次捕物控:126 辻斬 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
宗助そうすけ障子しやうじてゝ座敷ざしきかへつて、つくゑまへすわつた。座敷ざしきとはひながらきやくとほすから左樣さうづけるまでで、じつ書齋しよさいとか居間ゐまとかはう穩當をんたうである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
半四郎と云此兄の半作は至つて穩當をんたう生質おひたちなれば是所謂惣領そうりやうの甚六とか云が如し然れども惣領のじん々々/\と世間にては馬鹿者ばかものの樣に云ども勿々なか/\にあらず既に諸侯にては御嫡子と稱し町人ならば家の跡取あととりまたざい家農家などにては遺跡ゐせき樣といふ惣領そうりやう遺跡ゐせきいふ道理もつともなりこれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三人はちうを飛びました。いや、二人は宙を飛んで、一人は大地を這つたと言つた方が穩當をんたうかもわかりません。
自分じぶんやうよわをとこはふすには、もつと穩當をんたう手段しゆだん澤山たくさんでありさうなものだとしんじてゐたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)