白妙しらたへ)” の例文
みどりとばり、きらめく星 白妙しらたへゆか、かがやく雪 おほいなるかな、美くしの自然 が為め神は、備へましけむ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
見て安五郎はアヽ若コレ御内儀粗忽そそうな事を申されな小松屋の遊女白妙しらたへを連て立退たちのきしは此安五郎にちがひなけれど然ながら其節我は鞠子まりこ柴屋寺しばやでらへ先に參りて白妙しろたへの來るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
窓の外に降る雪、風に乱るる雪、こずゑに宿れる雪、庭にく雪、見ゆる限の白妙しらたへは、我身に積める人のうらみたけかとも思ふに、かくてあることのやましさ、切なさは、あぶらしぼらるるやうにも忍び難かり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
秋風を耳に残し、紅葉もみぢおもかげにして、青葉の梢なほあはれ也。の花の白妙しらたへに、いばらの花の咲きそひて、雪にもこゆる心地ぞする。古人かんむりを正し衣装を改めしことなど、清輔きよすけの筆にもとどめおかれしとぞ
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
君行きて心もくら白妙しらたへ
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
白妙しらたへにゆきつとけつゝ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
静かに来り触れて、我が呼吸をうながす、目を放てば高輪三田の高台より芝山内しばさんないの森に至るまで、見ゆる限りは白妙しらたへ帷帳とばりもとに、混然こんぜんとして夢尚ほまどかなるものの如し
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
まつて居し故其場の樣子は知らずあとにて白妙に聞くに彼の大門番の重五郎といふはもと白妙しらたへが親元遠州濱松はままつ天神町てんじんまち松下專庵せんあんと云醫師に召遣めしつかはれし古主筋こしゆすぢ故其夜の都合つがふをなして白妙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)