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白妙
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しらたへ
翠の
帳、きらめく星
白妙の
牀、かがやく雪
宏なる
哉、美くしの自然
誰が為め神は、備へましけむ
見て安五郎はアヽ若コレ御内儀
粗忽な事を申されな小松屋の遊女
白妙を連て
立退しは此安五郎に
違ひなけれど然ながら其節我は
鞠子の
柴屋寺へ先に參りて
白妙の來るを
窓の外に降る雪、風に乱るる雪、
梢に宿れる雪、庭に
布く雪、見ゆる限の
白妙は、我身に積める人の
怨の
丈かとも思ふに、かくてあることの
疚しさ、切なさは、
脂を
搾らるるやうにも忍び難かり。
秋風を耳に残し、
紅葉を
俤にして、青葉の梢なほあはれ也。
卯の花の
白妙に、
茨の花の咲きそひて、雪にもこゆる心地ぞする。古人
冠を正し衣装を改めしことなど、
清輔の筆にもとどめおかれしとぞ
静かに来り触れて、我が呼吸を
促がす、目を放てば高輪三田の高台より
芝山内の森に至るまで、見ゆる限りは
白妙の
帷帳の
下に、
混然として夢尚ほ
円なるものの如し
待て居し故其場の樣子は知らず
跡にて白妙に聞くに彼の大門番の重五郎といふは
元白妙が親元遠州
濱松天神町松下
專庵と云醫師に
召遣れし
古主筋故其夜の
都合をなして白妙を