白地あからさま)” の例文
千九百餘年前の猶太人が耶蘇基督の名を白地あからさまに言ふを避けて唯「ナザレびと」と言つた樣に、恰度それと同じ樣に、彼の三人の紳士をして
所謂今度の事:林中の鳥 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
見兼ての深切しんせつ先年の恩報おんがへしなりとて一昨日をとゝひ夕方ゆふがたに廿五兩と云金子を調達てうだつして持參致されし譯ゆゑ何も別に不審ふしんに思はるゝ事は是なしと金の出所を白地あからさまはなすを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
素女たりしを證するに必要な犬張子を其道具中に入れたのを女兒共に問れて白地あからさまに説明し難く、守りの厭勝のと種々牽強したので、之を犬形にしたは、辟邪の爲たる事、舊説通りだらう。
蓮の花開く音を聴く事 (旧字旧仮名) / 南方熊楠(著)
まづかれもときて、事の由来おこり白地あからさまに語り、このことを頼むにかじ
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
相手取あひてどる公事くじなれば白地あからさまには訴へ難したゞなにとなく樣子ありいとまくれ候樣に御願ひ申すとばかり認め是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
遂に、あの頃のお友達は今うなつたらうと思ふと、今の我身の果敢なく寂しく頼りなく張合のない、孤獨の状態を、白地あからさまに見せつけられた樣な氣がして、智惠子は無性に泣きたくなつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
遂に、の頃のお友達は今怎うなつたらうと思ふと、今の我身の果敢はかなく寂しく頼りなく張合のない、孤独の状態ありさまを、白地あからさまに見せつけられた様な気がして、智恵子は無性に泣きたくなつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
聞おきく尚々なほ/\かなしく白地あからさまに云んと思へども母のをしへの通り父のとがうつたへるも同前云ねば吉三郎は殺されんと心を千々ちゞいたていを大岡殿はやくもさつしられ其方そのはうは吉三郎を牢舍らうしやさするやちゝ利兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)