異名いみやう)” の例文
衆人醉へる中に獨り醒むる者はれられず、斯かる氣質なれば時頼はおのづから儕輩ひと/″\うとんぜられ、瀧口時頼とは武骨者の異名いみやうよなど嘲り合ひて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
我彼に異名いみやうあるをしらず——若し我これをそのむすめガイアより取らずば——願はくは神汝と倶にあれ、我こゝにて汝と別れむ 一三九—一四一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ガラツ八と異名いみやうで呼ばれる八五郎は、さういひ乍らも湧き上がつて來る滿悦まんえつを噛み殺すやうに、ニヤリニヤリと長んがいあごを撫で廻すのでした。
ある人はこれもつ仏蘭西フランスの自由を称揚する様ですが、しかし自由とは決して悪徳の異名いみやうで無いと思ひます。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
よばれコリヤ多兵衞其方の異名いみやうを切首と申す由は何故に然樣さやうの名を付て置にやとたづねらるゝに多兵衞はかうべあげおそれながら私し儀御覽ごらんの如く此首筋このくびすぢから脊へ掛けて切込きりこまれし疵が御座るゆゑ人よん渾名あだな
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ガラツ八といふ安値な異名いみやうで通る八五郎は、五月の朝の陽を一パイに浴びた格子の中へ、張板を蹴飛ばして、一陣の疾風のやうに飛び込むのでした。
さても大岡殿は多兵衞の異名いみやう切首きりくびいふわけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ガタガタ慶吉といふのは、ちよいとおどかしてもガタガタ顫へるからの異名いみやうだつたと言ひますぜ