由井ゆい)” の例文
私にはそれが第一不思議だった。私はその二日前に由井ゆいはままで行って、砂の上にしゃがみながら、長い間西洋人の海へ入る様子をながめていた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
門外おもての道は、弓形ゆみなり一条ひとすじ、ほのぼのと白く、比企ひきやつやまから由井ゆいはま磯際いそぎわまで、ななめかささぎの橋を渡したようなり
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
約束によって府中のこっちの由井ゆい宿で、同じ宿屋に泊まりを重ねていたおせい様と歌子は、その飛脚のふみを見ると、歌子というものがついているのだから
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
なにやら由井ゆいはまらしい景色けしきである……。』わたくしはそんなことをかんがえながら、格別かくべつけわしくもないその砂丘すなやまのぼりつめましたが、さてそこから前面ぜんめん見渡みわたしたとき
これに味方しました三浦大介の子ども三百余騎は、平家の側に立った畠山はたけやま勢五百余騎と由井ゆい小坪こつぼの浦で激戦を交えましたが、畠山勢が敗れ武蔵国へ退却しました。
そこから更にまた三里あまり引っ込んだところだというから、今日こんにちではともかくも、そのころでは、かなり辺鄙へんぴな土地であったに相違ない。そこに由井ゆい吉左衛門という豪家があった。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ばかさ加減を言えば由井ゆいの役だッて同じようなものさ。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
初乗や由井ゆいなぎさこまめて
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
実朝忌由井ゆい浪音なみおと今も高し
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)