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甘酸
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あまず
ふりがな文庫
“
甘酸
(
あまず
)” の例文
〔はあ、では一寸行って
参
(
まい
)
ります。〕木の青、木の青、空の雲は今日も
甘酸
(
あまず
)
っぱく、足なみのゆれと光の
波
(
なみ
)
。足なみのゆれと光の波。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
昼は、空と港が一つに煙って、へんに
甘酸
(
あまず
)
っぱい大気のなかを黄塗りの電車がことこと揺れて通った。その警鈴は三分の一ほど東洋的に
儚
(
はかな
)
かった。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
境内
(
けいだい
)
には、はぎの
花
(
はな
)
が
盛
(
さか
)
りなばかりか、どこからともなく、もくせいの
甘酸
(
あまず
)
っぱいような
香
(
かお
)
りがただよってきました。
子供は悲しみを知らず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今まで
甘酸
(
あまず
)
っぱいような
厭味
(
いやみ
)
を感じていた提琴の音のよさがわかり、ジムバリスト、ハイフェツなどのおのおのの
弾
(
ひ
)
き方の相違が感づけるくらいの
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
甘酸
(
あまず
)
っぱい湯気を立てている鮨屋(此湯気は甘酸っぱくないかもしれぬが、そうしておかぬと気持が出ない)
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
武蔵はふと、前の晩の、枕元へ迫った後家のささやきと、
甘酸
(
あまず
)
い髪の
香
(
か
)
をおもいだして、横を向いた。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真白な頸筋から
甘酸
(
あまず
)
っぱい匂いが洩れてきた。周平は眼を外らして、冷たくなった杯を口へ運んだ。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それを消すために始終注意して香水をつけていたのでしょうが、しかし私にはその香水と腋臭との交った、
甘酸
(
あまず
)
ッぱいようなほのかな匂が、決して厭でなかったばかりか
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だが、かの女が草を
除
(
と
)
らないことを頑張れば息子も
甘酸
(
あまず
)
っぱく怒って、ことによったらかの女をスポーツ式に一つ
位
(
くら
)
いはどやすだろう。そしたらまあ、仕方が無い、取っても
宜
(
よ
)
い。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ぷうんと蜜柑の香りがした。一房ちぎって口の中へほうりこんだ。
甘酸
(
あまず
)
っぱい汁——たしかに地上でおなじみの蜜柑にちがいなかった。しかもこの味は四国産の蜜柑と同じだった。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
甘酸
(
あまず
)
っぱい実を、よく
眺
(
なが
)
めては、食べているうち、ふっと瞼の裏が、熱くなりました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
妙な鼻をつくような
甘酸
(
あまず
)
いような臭いがしたので、はっと思って電灯をつけると、驚いたことに助手の竹内さんは細工台のもとに気絶して倒れ、白金の塊が見えなくなっていたそうです。
暗夜の格闘
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
これから
面
(
かお
)
が少し広くなり出すと、感心に道具屋を始めてアウタルキーを志したのはいいが、士族の道具屋が、いつまで続くものかなあ——と神尾が
甘酸
(
あまず
)
っぱい面をしながら読んで行く。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
色は美しいが石のように固く、
甘酸
(
あまず
)
っぱいような強い香りを放った。
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
甘酸
(
あまず
)
っぱい湿った臭いを発散させて暗く押し黙って並んでいる。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
甘酸
(
あまず
)
っぱいおもいが、俺の胸に溢れてきた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
何を見ても触れても、
甘酸
(
あまず
)
っぱい春の蜜を
湛
(
たた
)
えている自然である。蜂も、鳥も、猫も、恋をしていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山楂子の実は
甘酸
(
あまず
)
っぱい味がして、
左程
(
さほど
)
まずくもないそうだけれど、その
埃
(
ほこり
)
だらけなのに
怖毛
(
おじけ
)
をふるって、私達はとうとう手が出なかった。この山楂子売りはハルビン街上風景の一主要人物である。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
なにやら、
甘酸
(
あまず
)
ッぱいものが、かれの顔じゅうにコビリついて、ふいてもふいてもしまつがつかない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“甘酸”の意味
《名詞》
甘 酸(かんさん)
甘い味と酸っぱい味。
楽しみと苦しみ。
(出典:Wiktionary)
甘
常用漢字
中学
部首:⽢
5画
酸
常用漢字
小5
部首:⾣
14画
“甘酸”で始まる語句
甘酸辛鹹