甘酢あまず)” の例文
そのため紅い唇や、蜂蜜のようにねばる手や、甘酢あまずい髪の毛のにおいやらが、すぐ頭から去って、彼は、常の彼の身にかえっていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寿司に生姜しょうがをつけて食うのは必須ひっす条件であるが、なかなかむずかしい。生姜の味付けに甘酢あまずひたす家もあるが、江戸前としての苦労が足りない。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
あの男なら、笛はまずいが腕はたしかだ、化物なんか引っとらえて甘酢あまずで食べますよ、ヘッ、ヘッ、ところが、運が良いか悪いか、兵二郎は休んで太之助が行った
同じ大根おろしでも甘酢あまずにして、すりゆずの入れ加減まで、和尚の注意も行き届いたものであった。塩ゆでの枝豆、串刺くしざしにした里芋の味噌焼みそやきなぞは半蔵が膳の上にもついた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
はい旦那様だんなさまわたくしも、賓客きやくときには八百膳やほぜん仕出しだし取寄とりよせまして、今日けふ向付肴むかうづけ甘酢あまず加減かげん甘味過あますぎたとか、しる濃過こすぎたとか、溜漬たまりづけ辛過からすぎたとか小言こごとつた身分みぶんでございますが
わらび甘酢あまず 夏 第百十九 わらびのアク
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ぽッとなった源六の耳朶みみたぶへ、甘酢あまずい息がかおりました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)