玉座ぎょくざ)” の例文
おかみさんはきん衣装いしょうにつけて、まえよりもずっと高い玉座ぎょくざにすわり、大きな金のかんむりを三つもかぶっていました。
などと、頼山陽らいさんよううたい上げた。しかし、玉座ぎょくざを拝して、やがて花山院をさがって行った姿には、どこにもそんな悲壮感はなく、わるびれても見えなかった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで日本の使節もよいことを聞いた、小笠原流にもない礼法を学んだと喜び、いよいよ宮廷きゅうていに達し拝謁はいえつするとき、使節は玉座ぎょくざの前でみな手を鼻に当てた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
りっぱな玉座ぎょくざには、ただはだかの壁が残っているだけで、黒い糸杉いとすぎがむかし玉座のあったところをその長いかげでさし示しています。土がこわれたゆかの上に、うず高くつもっています。
玉座ぎょくざとも云うべきほどに手数のんだもので、上に赤い角枕かくまくらが一つずつ乗せてあった、支那人てえものは呑気のんきなものでね、こうしてっかかって談判をするんですと肋骨君が教えてくれた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして漁師りょうしのおかみさんは、金とダイヤモンドでできている高い玉座ぎょくざにすわり、大きな金のかんむりをかぶって、金と宝石ほうせきのしゃくをもっていました。
母屋もや玉座ぎょくざには御簾みすがたれ、お胸のあたりが仰がれる程度にそのすそは巻かれてある。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて、このあいだ、王女さまは玉座ぎょくざにおすわりになりました。玉座というものは、せけんでいうほどたのしいものではありません。そこで王女さまは、くちずさみに歌をうたいだしました。
いよいよ当日になり、玉座ぎょくざに近き食卓につくと、ろくろく落着いて手を出すものも、口を開くものもなかった。そこで西郷さいごうって口を開き厚くご陪食の御礼を申し上げ、かつこれに加えて
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
漁師りょうしがなかにはいってみますと、おかみさんは玉座ぎょくざにすわっていました。その玉座は、ひとかたまりのきんでつくってあって、高さはたっぷり二マイルぐらいもありそうでした。
みすぼらしい身なりをした、ひとりの年とったおばあさんが——このお婆さんは貧しい階級の人でした——身分のいやしい番人の後について、がらんとした大きな玉座ぎょくざの間にはいってきました。
翠花冠はなかんむりにせ役人、玉座ぎょくざの屏風の
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)