片肌脱かたはだぬぎ)” の例文
おつたは幾年いくねん以前まへ仕立したてえる滅多めつたにない大形おほがた鳴海絞なるみしぼりの浴衣ゆかた片肌脱かたはだぬぎにしてひだり袖口そでぐちがだらりとひざしたまでれてる。すそ片隅かたすみ端折はしよつてそとからおびはさんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
毎朝まいちょう役所へ出勤する前、崖の中腹ちゅうふくに的を置いて古井戸の柳を脊にして、凉しい夏の朝風あさかぜ弓弦ゆみづるならすを例としたがもなく秋が来て、朝寒あささむある日、片肌脱かたはだぬぎの父は弓を手にしたまま
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
見せにやらんと宿駕籠しゆくかごを頼みて其用意に及びし所へ後藤半四郎はむか鉢卷はちまき片肌脱かたはだぬぎになり駕籠一ちやうへ夫婦二人を乘せ一人にて引擔ひつかつぎ寶珠花屋のかど駈着かけつけ是々亭主今歸りたりとおもて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
片肌脱かたはだぬぎがせき立てる。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)