)” の例文
ふと、そのうちに人々は、彼女のべている細い枯木が、ただの松薪まつまきや雑木のようでなく、まことによく燃える木であることに気づいた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折角の思召おぼしめしですから戴いて置きましょう、日が暮れると雨の降る時は寒うございます、じきに本郷山が側ですから山冷やまびえがしますから、もっと其の麁朶そだをおべなさいまし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
次女はもったい振り、足の下の小さい瀬戸の火鉢に、「梅花」というこうを一つべて、すうと深く呼吸して眼を細めた。古代の閨秀けいしゅう作家、紫式部の心境がわかるような気がした。
ろまん灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
斯様いう長官が居無くて太平の世の官員は石炭ばかり気にしてべて仕合せな事である。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「御新造さま、ぬるくァござんせんか。ちっとべますべいか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
こうべましょう。」
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
これを短く切って炉にべてみると、炎はやわらかいし眼には美しいし、また、まぶたにしみるけぶりもなく、薫々くんくんとよい香りさえする。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほたの火が乏しくなると、吉野は傍らの炭籠のような物の中から、一尺ほどに揃えて切ってある細いまきを取ってべ足した。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしていよいよチーンと冴えらけている娘と宋江の仲を笑って、さらにペチャクチャりなし言に努めたり、また寝室の帳台を開けて、そこの香炉こうろに、春情こうべたりした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)