)” の例文
いま倫敦ロンドンのドルウリイ・レイン座は、エドナ・ファウバアの小説からとった、亜米利加アメリカ渡来の楽劇「芝居舟ショウ・ボウト」をして大当りを取っているが
歌舞伎座で「吃又どもまた」をしてゐたときである。その頃、私は横山大觀氏の紹介で、鍼灸家の岡部素道氏の治療をうけてゐた。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
と、つぶやいたが、ちょいと癪にさわる気がして、中村座のつい前の、結城座で、あやつりを見たが、しものが、何と「女熊坂おんなくまざか血潮ちしお紅葉もみじ
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
男優C し物はまあ、あれでいゝさ。たゞこつちで練習用に使つてるとも知らずに、のめのめと舞台へ掛けたもんだから、可哀さうに、あらが丸見えだ。
職業(教訓劇) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ゴーリキーの「どん底」をしてナターシャの役か何かをやつたことなどを報告してきて、しきりに演劇のほうへ進みたい意向をもらしていたやさきなので
私の活動写真傍観史 (新字新仮名) / 伊丹万作(著)
映画館へ行くにしても、どこのし物も面白くなさそうだと、一つ一つあげてつまらなくこきおろしていた。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「お前のほうはそれでいいだろうけれど、あたしは、この自分の手踊りが心配でならないんだよ。せっかくの大きなしものに味噌みそをつけやしないかと思ってねえ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しものは、「時の氏神」だつたかな……。海のやうに広い、黄濁した河幅いつぱいに、ヒヤシンスに似た、イロンイロンの大群の水草の流れには、富岡は驚いたものだつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
加藤剣舞の最近替ったしものについての話か、でなければ押川春浪の『海底軍艦』の話か、でなければすぐもうそこに眼のまえに迫った四万六千日の話か……なぜならそれが一学期の末の
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
そしてし物もあれこれと研究した結果「オルフォイス」をやることにきめ、その訳詩を歌の訳詩で有名な石倉小三郎、乙骨三郎、吉田豊吉、近藤逸五郎が担当し、背景と衣裳は美術学校の山本芳翠
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
「ここのものに、縄抜けがあったはずだが」
羽衣座の舞台に年中出ていた中村玉之丞という俳優、おなじ一座の団童などという俳優が好きで、この一座のし物は殆ど観つくしていたといえるかも知れない。
おめえは自分の踊りっぷりがわからねえし、それに、おいらの頭ん中にある天人娘夢浮橋のものを知らねえから、それでそんなことをいうけれど、おいらは考えることがあるのだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さういふことを、つひ当事者は忘れ、或は気がつかず、「し物」次第で観客が来ると思ひ込み、その結果が自分たちの手柄になるとあれば、もう、彼等は、進歩の道を絶たれたことになる。
最近の戯曲について (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「此處のし物に、繩拔けがあつた筈だが」
楽器には絃楽器はなく、ささら腰鼓くれつづみ、フリ鼓、銅鈸子どびょうしといったような類。ものによっては笛もつかう。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手妻の一点張りで舞台みせを張ってみてえ気もあってひとつ根限り、幻妖げんよう摩訶まか不思議てえところを腕によりをかけて見せてえ気もちも大きにあるのだが、ついては、新奇のものをつくって
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
時局におもねるし物を軽々しくやらぬのも、その心掛けのゆゑであらう。
演劇統制の重点 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
よるものは、もちろん、宴もくずれてからの座興なので、みだらな寸劇や、猥雑わいざつな舞踊が多かった。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは一時、興行物を風靡ふうびしたが数年にして禁止された。し物は、歌舞伎物を掲げていたが、元々、演技が主でないから、ぼくら少年が覗いてみても、後をひく魅力はなかった。