清水寺きよみずでら)” の例文
わけて、この京都八坂郷やさかごう清水寺きよみずでらは、東大寺系なので、南都の学生寮がくしょうりょうもあり、夜になって一所に集まると、論議や談笑で、正月の夜も変らなかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま清水寺きよみずでらがあれほどのおおきなおてらになったのは、田村麻呂たむらまろときから、そうなったものだということです。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「しかしこうして今日こんにち御眼にかかれたのは、全く清水寺きよみずでらの観世音菩薩の御利益ごりやくででもございましょう。平太夫一生の内に、これほど嬉しい事はございません。」
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
初冬の夜もしだいにけて、清水寺きよみずでらの九つ(午後十二時)の鐘の音が水にひびいた。半九郎は仄暗ほのぐらい灯の前に坐って、自分の朋輩の血を染めたやいばに、更に自分の血を塗ろうとした。
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
都に上った厨子王は、僧形そうぎょうになっているので、東山の清水寺きよみずでらに泊った。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あえて、践祚せんそをとり行って二日後の晩であった。彼は、人知れず清水寺きよみずでら願文がんもんをおさめていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いえ、あなた様さえ一度お見舞い下されば、あとはもうどうなりましても、さらさら心残りはございません。その上はただ清水寺きよみずでら観世音菩薩かんぜおんぼさつ御冥護ごみょうごにおすがり申すばかりでございます。」
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ばけもののむくろはすぐにいて、清水寺きよみずでらのそばの山の上にうずめました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一例をあげれば、清水寺きよみずでら願文がんもんなど、あれを書かれた御本心が疑われてならないのです。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その章房は、出過ぎ者となった身の不首尾をさとって、以後は出仕しゅっしもせず、引き籠っている風だが、まま清水寺きよみずでらの社参には詣るよし。いや狙えば、いくらでもうかがう機会はあろう。首尾よくせよ」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浪華なにわでは住吉神社、京では清水寺きよみずでら、男山八幡宮、江戸では浅草の観世音かんぜおん、そのほか旅の先々で受けた所の神々や諸仏天は、今こそ、自分の肌身を固め給うものと信じて、ばばは、鎖帷子くさりかたびらを着たよりも
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長は、東福寺に陣し、義昭は東山の清水寺きよみずでらへはいった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)