法師ほうし)” の例文
それから、この法師ほうしには、「みみなし法一ほういち」というあだ名がつき、びわの名手めいしゅとして、ますます名声めいせいが高くなりました。(昭2・6)
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
白布はくふで、目をふさがれている法師ほうしすがたは、その時、顔をあげ、かたをゆすぶッて、なにやら、無念むねんそうにさけぼうとしたが
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私どものまだ年若な時分、奈良に蔵人得業くろうどとくごう恵印えいんと申しまして、途方とほうもなく鼻の大きい法師ほうしが一人居りました。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
明王みょうおうのふるきをもつてあたらしきにゐはせでら法師ほうしたるべし
比枝ひえ法師ほうしも、花賣はなうりも、まじりつゝなだれゆく
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
しかし、このあたりには、それほどに大きな、りっぱなご門は、あみだでら山門さんもんよりほかにはないはずだが、と法師ほうしはひとり思いました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
北のかたを始め、わたくしどもまで心を痛めて、御屋形の門々かどかど陰陽師おんみょうじ護符ごふを貼りましたし、有験うげん法師ほうしたちを御召しになって、種々の御祈祷を御上げになりましたが
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さらに、ひどかったのは、つぎの、法師ほうしすがたのものと、白衣びゃくえの人をあつかった刑吏けいり待遇たいぐうである。打つ、る、あげくのてに、伊那丸と同じように引きすえて、何か、口あらくののしりちらした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まもなく法師ほうしは、また女の手に案内あんないされ、大げんかんへ来ました。そこには前の武士ぶしが待っていて、法師をあみだてらまでおくって来てくれました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
目のあらいすだれが、入口にぶらさげてあるので、往来の容子ようすは仕事場にいても、よく見えた。清水きよみずへ通う往来は、さっきから、人通りが絶えない。金鼓こんくをかけた法師ほうしが通る。壺装束つぼしょうぞくをした女が通る。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
元より世の常の法師ほうしではございますまい。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)