母様かゝさま)” の例文
旧字:母樣
此のうちを出ては死んだ父様とっさまのお位牌に済みません、おえいの気に入らなければわしを亭主と思わねえでも宜うがんす、又母様かゝさまも子と思わず
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふけえ馴染の中だで思出おめえだしてなげきが増して母様かゝさまが泣くべえ、それに種々いろ/\用があってねえでいたが悪く思ってくれるなって、でかい身体アして泣いただ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こらえ兼るから外へ出ては貴方あんたが泣きながら歩くという訳だ、三百石の田地持の旦那様が母様かゝさまの機嫌が悪くうちに居られないから、馬を曳いて外へ出ると
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母様かゝさまが此の家へ嫁にいらッしゃった時は、手前てめえがな十一の時だが、意地がわるくてお父様とお母様と己との合中あいなかをつゝき、何分家が揉めて困るから
孝「オヽお母様かゝさまお見忘れでございましょうが、十九年以前、手前四歳の折お別れ申したせがれの孝助めでございます」
國「おやまアびっくりします、お母様かゝさま何をおっしゃいます、誰が其の様な事を云いましたか、少しも身に覚えのない事を云いかけられ、本当に恟り致しますわ」
あの男も……惣吉様ちっせえだけんども怜悧りこうだから矢張やっぱり名残い惜がって、昨宵ゆうべおいらは行くのはいやだけんども母様かゝさまが行くから仕方がねえ行くだって得心したが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「お母様かゝさま/\、今此処え出ておかゝさんの手を持って引張ひっぱり込んだ人は誰だえ、お母様しやお父様とっさまではござりやせんかえ、お母様/\、お父様かえ/\/\」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私がに話いしておくんなさえ、まア旦那がアなってからは力に思うのはお前さんの外に誰もないのだ、惣吉さんだっての通り真実ほんとうの姉さん母様かゝさまアの様に思ってすがっているし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おや/\これはくいらっしゃいました、生憎文治郎は不在でございますが、何御用でございますか、わたくし迄御用向を仰しゃり聞けを願います、お母様かゝさまも御不快の御様子でございまして
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私はね芝居でも世話場でちょっと此様こんな子役の出る芝居へ往って見物していると、子役が出て母様かゝさまというと、まだ何だか解らないうちにぽろ/\と直ぐお出でなさる、誠に何うも恐れ入りました
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「はてね……おめえさんの母様かゝさまというは江戸者かねえ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)