かか)” の例文
旧字:
御小刀おこがたなの跡におう梅桜、花弁はなびら一片ひとひらかかせじと大事にして、昼は御恩賜おんめぐみかしらしかざせば我為わがための玉の冠、かりそめの立居たちいにもつけおちるをいと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
けれどこの頃にはもはや一人減り、二人減りして、毎日かかさずに来る子供は僅かに一人しかなかった。その子供はこの町の、貧しき家の子であった。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
雨風の烈しいときでもかかしたことのない勤行経がもう村では聞くことができなくなったのでございます。
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
果せるかなくだんの組はこの勝負にきたなき大敗を取りて、人も無げなる紳士もさすがに鼻白はなしろみ、美き人は顔をあかめて、座にもふべからざるばかりの面皮めんぴかかされたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
刺繍の先生は遠い市から月に一回かかさず村へ廻って来た。米の村では母だけが刺繍を習っていた。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
したがつて、たとひそれがわずかに一文のお客様であらうとも、毎日かかさずに来てくれる以上、その人の顔をみないうちに店を仕舞ふのは義理がわるいやうに思はれたからである。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
それから毎日かかさずに注意していると、葉と葉との間からは総て蕾がめぐんで来た。それが次第に伸びてひろがって来た。もうこうなると、発育の力は実に目ざましいもので、茎はずんずんとのびてゆく。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)