棒立ぼうだち)” の例文
「はい、」と柳の下で、洗髪あらいがみのお品は、手足の真黒まっくろな配達夫が、突当つきあたるように目の前に踏留ふみとまって棒立ぼうだちになってわめいたのに、驚いた顔をした。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、いやがるのを無理に引張つてくと、魂でも吸ひつけられたやうにその前に棒立ぼうだちになつて
生前せいぜん顔を合わすれば棒立ぼうだちに立ってよくは口もきけず、幼年学校でも士官学校でも学科はなまけ、病気ばかりして、晩年には殊に謀叛気むほんぎを見せて、恩義をわきまえたらしくもなかった篠原良平が
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そこでまた棒立ぼうだちになつたまま少時しばらくお房のことを考へる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
宇津木は「うん」と云つたきり棒立ぼうだちに立つてゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「はい、」とやなぎしたで、洗髮あらひがみのおしなは、手足てあし眞黒まつくろ配達夫はいたつふが、突當つきあたるやうにまへ踏留ふみとまつて棒立ぼうだちになつてわめいたのに、おどろいたかほをした。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とぶつきら棒立ぼうだち仲屋なかや小僧こぞうの、からすねの、のツぽがこたへる。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)