梵天帯ぼんてんおび)” の例文
こん看板に梵天帯ぼんてんおび真鍮しんちゅう巻きの木刀を差した仲間奴ちゅうげんやっこ、お供先からぐれ出して抜け遊びとでも洒落しゃれたらしいのが、人浪ひとなみを分けて追いついた。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
も段々と更け渡ると、孝助は手拭てぬぐい眉深まぶか頬冠ほおかむりをし、紺看板こんかんばん梵天帯ぼんてんおびを締め、槍を小脇に掻込かいこんで庭口へ忍び込み、雨戸を少々ずつ二所ふたところ明けて置いて
いかさま博奕ばくち立番たちばんまでやって、トドのつまりが阿波くんだりまで食いつめて、真鍮鐺しんちゅうこじり梵天帯ぼんてんおびが、しょうに合っているとみえて、今じゃすっかりおとなしくなっているつもりですが
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
芸者の揃いの手古舞てこまい姿。佃島つくだじま漁夫りょうし雲龍うんりゅう半纏はんてん黒股引くろももひき、古式のいなせな姿で金棒かなぼうき佃節を唄いながら練ってくる。挟箱はさみばこかついだ鬢発奴びんはつやっこ梵天帯ぼんてんおび花笠はながさ麻上下あさがみしも、馬に乗った法師武者ほうしむしゃ
法被姿はっぴすがた梵天帯ぼんてんおび、お約束の木刀こそなけれ、一眼で知れる渡り部屋の中間奉公、俗に言う折助おりすけ年齢としの頃なら二十七、八という腕節の強そうなのが
目元きりゝっとして少し癇癪持かんしゃくもちと見え、びんの毛をぐうっと吊り上げて結わせ、立派なお羽織に結構なおはかまを着け、雪駄せった穿いて前に立ち、背後うしろ浅葱あさぎ法被はっぴ梵天帯ぼんてんおびを締め
こん看板に梵天帯ぼんてんおびのお陸尺ろくしゃくが、せまい路地いっぱいに、いばり返って控えている。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)