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柳湯
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やなぎゆ
ぽんと
背中をたたかれて、
立て
続けに
聞かされたのが、
柳湯で、
金蔵がしゃべったという、
橘屋の一
件であった。
両眼真黄色な絵具の光る、巨大な
蜈蜙が、赤黒い雲の如く
渦を巻いた真中に、
俵藤太が、弓矢を
挟んで身構えた
暖簾が、ただ、男、女と上へ割って、
柳湯、と白抜きのに
懸替って
朝っぱらの
柳湯は、
町内の
若い
者と、
楊枝削りの
御家人と
道楽者の
朝帰りとが、
威勢のよしあしを
取まぜて、
柘榴口の
内と
外とにとぐろを
巻いたひと
時の、
辱も
外聞もない
「だからよ。だから
垢と一
緒に、
柳湯へ
捨てに
行くところだ」