林間りんかん)” の例文
写真班しやしんはん英雄えいゆうは、すなはちこの三岐みつまたで一自動車じどうしや飛下とびおりて、林間りんかんてふ逍遥せうえうする博士はかせむかふるために、せて後戻あともどりをしたところである。——
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なおいたいことのいくつかを思いだし、あわただしくあとを追って、老師ろうし! 老師! ——といくたびも声のかぎり呼んで見たけれど、もう春影しゅんえい林間りんかんにそのうしろ姿はなく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こと信州しんしゆうあたりの高原こうげんをかっこうのこゑきながらあるいたり、濶葉樹林かつようじゆりんすゞしい林間りんかんのぼつたりするときには、とりによびかけられるようながしてこちらからもかっこうと返事へんじがしたいくらゐです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ずっと前の事であるが、ある人から気味合きみあいみょうはなしを聞いたことがある。そしてその話を今だに忘れていないが、人名や地名は今は既に林間りんかん焚火たきびの煙のように、何処どこか知らぬところにいっし去っている。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わしが返事をするわけもないが、いつも、かれがこの林間りんかんへ足をれれば、をふむ音だけで、自分のきたことを知って、よろこばしげに、爽快そうかいばたきをするのがれいだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちがつた林間りんかんにはひります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)