東夷とうい)” の例文
東夷とうい南蛮の類であり、毛唐人けとうじんの仲間である。この「ヤヷナ」が「野蛮」に通じまた「野暮やぼな」に通ずるところに妙味がないとは言われない。
言葉の不思議 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
草薙くさなぎつるぎ景行天皇けいこうてんのう御時おんとき東夷とうい多くそむきて国々騒がしかりければ、天皇、日本武尊やまとたけるのみことつかわして之を討たしめ給う。みこと駿河するがの国に到りし時……
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
当時は支那かぶれの荻生徂徠をきふそらいが、日本を東夷とういと称してゐた時代だが、春満の「ふみ分けよ、大和にはあらぬから鳥の、跡を見るのみ人の道かは」
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
いわゆる東夷とういの活躍が次第に影響を中原ちゅうげんの文化に及ぼし、宝貝の重視熱望がほぼ頂点に達せんとした時代が、ちょうど極東列島のいずれかの一つに
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
支那もまたその通りで、自国以外を東夷とうい南蛮なんばん北狄ほくてき西戎せいじゅうといった。これは希臘ギリシャ人と同じである。
大戦乱後の国際平和 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
また安政三年三月時事に感じ、作りたる詩中にも「朝廷を推尊し幕府を重んぜば、大義赫々かくかくとして天下にあらわれん。しかる後神州た一新し、東夷とうい北狄ほくてき、赤県を仰がん」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
諸外国はことごとくこれを東夷とうい西戎せいじゅう南蛮なんばん北狄ほくてきなどと称し、天子はすなわち天命によりて、あまねく天下を統治すべきものとして、諸外国は当然中国に服属すべきものと認めていたのである。
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
いんの王朝が、中原ちゅうげんに進出した背後の勢力は東方にあった。いわゆる東夷とういの海の営みの中で、今でもすでにほぼ明かになっているのは、宝貝の供給であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
私たちはまだきわめることができずにいるが、少なくとも支那シナ東夷とういといいまた島夷といった方面において、その最も明らかな痕跡こんせきを永くとどめたのは沖縄の諸島である。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)