東南たつみ)” の例文
東南たつみの風が吹くとともに、物々しく色めき立ち、この風のやまぬうちに、必ず一会戦あらんということでござります。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
午後から東南たつみの風がにわかにいで、陽気もうすら寒くなったかと思うと、三時過ぎる頃から冷たい霧が一面に降りて来て、それが次第に深くなった。
深川の老漁夫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
九月ながつき下旬すゑつかた、けふはことに二一なごりなくぎたる海の、にはか二二東南たつみの雲をおこして、小雨こさめそぼふり来る。
豊雄は例によって師匠の許へっていると、東南たつみの空に雲が出て、雨が降って来た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
変ったことといえば、それくらいなもので、家の東南たつみにある高さ五丈余の桑の大樹に、春はとりが歌い、秋は落葉して、いつかここに三、四年の星霜は過ぎた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東南たつみの浮気な風が吹く夜には、くるわの唄やつづみのしらべが手に取るようにここまで歓楽のひびきを送って、冬枯れのままに沈んでいるこの村の空気を浮き立たせることもあるが
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
西北いぬいの風はふく季節だが、東南たつみの風は吹くことはない。わが陣は、北岸にあり、呉は南にある。敵がもし火攻めなど行えば自ら火をかぶるようなものではないか。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殊にここらは品川の海に近いので、東南たつみの風はいっそう強く吹きあてて、わたしの家の屋根瓦もずいぶん吹き落された。庭の立木も吹き倒された。塀も傾き、垣もくずれた。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「元の東南たつみへ向って返れ」と、蹂躙じゅうりんまた蹂躙をほしいままにしながら、元の方向へ逆突破を敢行した。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殊にここらは品川の海に近いので、東南たつみの風はいっそう強く吹きあてて、わたしの家の屋根瓦もずいぶん吹き落とされた。庭の立木も吹き倒された。塀も傾き、垣もくずれた。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「……けれど、魯粛。この冬の末にも近くなって、東南たつみの風が吹くわけはないじゃないか」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
風は東南たつみで、彼にとっては追い風であるのがせめてもの仕合せであったが、吹かれて、吹きやられて、ややもすれば吹き飛ばされそうになるのを、彼は辛くも踏みこたえながら歩いた。
異妖編 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ここから東南たつみの方、七百里に、一つの国がある。烏戈国うかこくといって、国王は兀突骨ごつとつこつという者です。五穀をまず、火食せず、猛獣蛇魚だぎょを喰い、身にはうろこが生えているとか聞きます。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
魯粛は周瑜しゅうゆに報じて、万端の手筈をうながし、呉主孫権にも、事の次第を早馬で告げ、もし今にも、孔明の祈りのしるしがあらわれて、望むところの東南たつみの風が吹いてきたら、直ちに
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東南たつみの一角から突撃して、西へ西へと敵を馳けちらし、また、東南へ返せ」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宵深まるにつれて、烈風は小凪こなぎになったが、東南たつみの風向きに変化はない。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また東南たつみよりは徐晃じょこうの騎馬隊、西南よりは楽進がくしん弩弓隊どきゅうたい、東北よりは夏侯惇かこうじゅんの舞刀隊、西北いぬいよりは夏侯淵の飛槍隊など、八面鉄桶てっとうかたちをなしてその勢無慮むりょ十数万——その何十分の一にも足らない張飛
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東南たつみの一門だけ開いて、三方から鼓をならし、火を放った。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東南たつみからであった」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東南たつみの陣、関羽かんう
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)