くらし)” の例文
無いのが当然で、かく申す自分すら、自分の身が流れ流れて思いもかけぬこの島でこんなくらしを為るとは夢にも思わなかったこと。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そのおふくろが死んだので、後は娘一人のせ腕でございますから、いくらかせいでも、くらしの立てられようがございませぬ。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこには天子様のお城があって、町はいつもお祭りのようににぎやかで、町の人達は綺麗きれいな服をきたり、うまいものを食べて、みんな結構なくらしをしているのだ。
都の眼 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
湯村はと気が付いて当月の収入を胸の中にかぞへ上げた。間に合ふだけはある。来月も来々月も書きさへすれば充分にくらしは立つ。先生の周旋は無くとも買ひに来る本屋も二三軒はある。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
(中略)さて此娘、(中略)つとめにいづる其日より、富豪の大臣かかり、早速さそくに身うけして、三八夫婦母おやも大阪へ引きとり、有りしにかはるくらしと成り
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ところが横浜に高橋という雑貨商があって、随分盛大にやって居ましたが、其主人あるじは女で名はうめ所天つれあいは二三年前になくなって一人娘ひとりむすめ里子さとこというを相手に、贅沢ぜいたくくらして居たのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
其うち物価もの次第だん/″\高くなり、お秀三人のくらしは益々困難に成って来た。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)