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暫
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しばし
ふりがな文庫
“
暫
(
しばし
)” の例文
いつも御写真に向ひ候へば、何くれと当時の事
憶出
(
おもひだ
)
し候中に、うつつとも無く十年
前
(
ぜん
)
の心に返り候て、苦き胸も
暫
(
しばし
)
は
涼
(
すずし
)
く相成申候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
乞と
暫
(
しばし
)
縁
(
えん
)
の
下
(
もと
)
に
休
(
やすら
)
ひぬ
餠屋
(
もちや
)
の店には
亭主
(
ていしゆ
)
と思しき男の居たりしかば寶澤其男に
向
(
むかひ
)
申けるは私しは
腹痛
(
ふくつう
)
致し甚だ
難澁
(
なんじふ
)
致せば
藥
(
くすり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
暫
(
しばし
)
は唯
茫然
(
ぼうぜん
)
とこの
得
(
え
)
もいわれぬ夜の気に打たれていたが、する
中
(
うち
)
、
忽然
(
こつぜん
)
わが家の縁先から、こは
如何
(
いか
)
に、そっと庭の方へと
降立
(
おりた
)
つ幽霊のような白い物の影。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
もし人間が、
暫
(
しばし
)
なりとも良心の苛責から逃れ得る事があるとすれば、其れは酔って居る時だけだ。酔ってさえ居れば、浮世が直ちに藝術の世界のように感ぜられる。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何処の誰の血を承けたか、口数はきかないが学才すぐれて、
暫
(
しばし
)
の間に村長の子と威張る十一二の小供までも追い越して級第一の位を占めた。先生は可愛がる。嫉妬が起る。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
目の
前
(
さき
)
の竹の梢に雀が一羽遊びに来て、物案じげな様をしながら
暫
(
しばし
)
のうちは動かなかつたり——見てゐたら、ときどき隣へ飛び移つて又暫くは動かなかつたり、暫くして又動いたり
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
『何も
其様
(
そんな
)
に!』と清子も泣声で言つて、そして二人は相抱いて
暫
(
しばし
)
泣いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あれ向ひから
男子
(
おとな
)
が大勢来るわい。そんならほんの
暫
(
しばし
)
がほどぢや。(去)
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
小舟はゆるゆると流れ下り窓の下にて
暫
(
しばし
)
漂う
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
宥
(
ゆる
)
し置者なりと御
詫宣
(
たくせん
)
有けるとかや
然
(
され
)
ば此畔倉重四郎も則ち是等の
道理
(
だうり
)
に有んか前世の
因縁
(
いんねん
)
も有しことなるか
併
(
しか
)
しながら是も
只
(
たゞ
)
暫
(
しばし
)
の
中
(
うち
)
斯る大惡不道も天の
免
(
ゆる
)
しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
暫
(
しばし
)
立よと止められ其の女是へと呼るゝ故おせんは
乘輿
(
のりもの
)
の側へ參り土に手をつき
頭
(
かしら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
“暫”の解説
『暫』(しばらく)は、歌舞伎の演目で歌舞伎十八番の一つ。時代物。荒事の代表的な演目である。
(出典:Wikipedia)
暫
常用漢字
中学
部首:⽇
15画
“暫”を含む語句
暫時
暫々
天路行人喜暫留
暫定的
若暫時
人我暫時情
若暫持
翠暫
猶暫
暫留
暫有
暫時間
暫時前
暫定
女暫
伊達姿女暫
今暫