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晦
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くらま
ふりがな文庫
“
晦
(
くらま
)” の例文
電光一閃氏が頭上に加はりしも早速の働き、
短銃
(
ピストル
)
を連発せしにより。曲者はその目的を達し得ずたちまちに踪跡を
晦
(
くらま
)
したり。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
マリテレーズ別荘の殺人事件以来行方を
晦
(
くらま
)
しているグロニアールとルバリユとの住んでいたアンジアンの別荘を想い出した。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
佐渡はこの若い殿の英敏を知っているし、自分の口添えが、決してその英敏を
晦
(
くらま
)
すものでないことも分っているので、ただ
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は親友の前に
自
(
みづから
)
の影を
晦
(
くらま
)
し、その消息をさへ知らせざりしかど、陰ながら荒尾が動静の
概略
(
あらまし
)
を伺ふことを怠らざりき、こ
回
(
たび
)
その参事官たる事も
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かくいへばとて
単
(
ひたぶる
)
に閑寂を好み、山野に跡を
晦
(
くらま
)
さんとにはあらず、やゝ病身人に
倦
(
う
)
みて世を厭ひし人に似たり。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
▼ もっと見る
晦
(
くらま
)
され、人間の踏むべき道を失うとは笑止千万な……お帰りなさい。貴公たちの手に討たるる大弐ではない
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
女が汽車に乗るのを見送った足でTは放浪を——というのが正しいかしら、行方を
晦
(
くらま
)
してしまった。
幽霊を見る人を見る
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
再び狼の爪につかまれぬためには、変名して手紙を受とったり、住居を
晦
(
くらま
)
したり、辛酸をなめた。
バルザックに対する評価
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それを見破って夫人は棄鉢に強くなって、もう脅迫などには負けていませんでした。それで彼はあきらめて印度へ帰りました。その後今日まで行方を
晦
(
くらま
)
していたのだというのです。
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
一時姿を
晦
(
くらま
)
すんだな。そうすれば決裂の糸口がつくだろうと思うんだ。すみ子さん。明部屋のはなしが付かなければ、迷惑をかけても済まないから、僕は今夜だけ
何処
(
どこ
)
かで泊ろう。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さうして一時姿を
晦
(
くらま
)
して居たそれらの品物は、後になつて思ひも寄らないやうな、その癖考へればごく当りまへな場所から、或はその時に注意深く捜した筈だと思へる馬鹿げた場所から
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
また、どうとかした方法で、お客様がたの目を
晦
(
くらま
)
すことが出来たといたしましても、投げつける時は、あの造りものの鐘が、半四郎師匠の白拍子に、かむさる瞬間にいたさねばなりますまい。
京鹿子娘道成寺
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
それで甚だ不本意ながら、暫らく行方を
晦
(
くらま
)
していたわけなのです。
死者の権利
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
自己の罪条をいい
晦
(
くらま
)
すに努めると、
正
(
まさ
)
に、
懸河
(
けんが
)
の弁舌というもおろか、思わず聞き
恍
(
と
)
れるばかりだった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
故意に欺くつもりではないが、最初女の誤り認めた事を訂正もせず、寧ろ興にまかせてその誤認を
猶
(
なお
)
深くするような挙動や話をして、身分を
晦
(
くらま
)
した。この責だけは免れないかも知れない。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
家の内を
隈無
(
くまな
)
く尋ぬれども在らず、さては今にも
何処
(
いづこ
)
よりか
帰来
(
かへりこ
)
んと待てど暮せど、姿を
晦
(
くらま
)
せし貫一は、我家ながらも身を
容
(
い
)
るる所無き
苦紛
(
くるしまぎ
)
れに、裏庭の木戸より
傘
(
かさ
)
も
擎
(
さ
)
さで忍び出でけるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
暁の霜を踏んで、深夜の客はどこともなく姿を
晦
(
くらま
)
した。
深夜の客
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
晦
漢検準1級
部首:⽇
11画
“晦”を含む語句
大晦日
晦日
晦冥
晦渋
韜晦
晦暝
大晦
晦顕
晦瞑
雲霧晦冥
晦庵
晦跡
晦渋溷濁
晦滞
晦澁
晦濛
晦菴
晦日迄
朱元晦
踏晦
...