日露にちろ)” の例文
単に物質だけの百一億円の損害でも、日露にちろ戦争の費用の五倍以上にあたり、全国富こくふの十分の一を失ったわけです。
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
一時間あるくと見物する町もないようなせまい都に住んで、外に何にも芸がないから、天麩羅事件を日露にちろ戦争のようにれちらかすんだろう。あわれな奴等やつらだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
海外通信にはシナ領土内における日露にちろの経済的関係を説いたチリコフ伯の演説の梗概こうがいなどが見えていた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
また日本にほん日清につしん日露にちろ兩役りやうえきときごと戰爭せんさうおいては擧國きよこく好成績かうせいせきげてるが、經濟問題けいざいもんだいためかくごと擧國きよこく好成績こうせいせきげたことはいまかつてないのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
中尉ちゅういか大尉かのころに日露にちろ戦争に従軍して、ほとんど失明に近い戦傷をうた人であるが、その後、臨済禅りんざいぜんにこって一かどの修行をつみ、世にいうところのはらのすわった人として
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
日清にっしん 日露にちろ 日華にっか とじゅんをおって古びた石碑せきひにつづいて、新らしいのはほとんど白木しらきのままのちたり、たおれているのもあった。そのなかで仁太や竹一や正のはまだ新らしくならんでいた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
さき北米ほくべい合衆国に対して宣戦を布告し、吾が陸海軍は東に於て太平洋に戦機をうかがい、西に於ては上海シャンハイ比律賓フィッリピンを攻略中であるが、従来の日清にっしん日露にちろ日独にちどく、或いは近く昭和六七年に勃発せる満洲
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その当時は日露にちろの関係も日米の関係もあらしの前のような暗い徴候を現わし出して、国人全体は一種の圧迫を感じ出していた。臥薪嘗胆がしんしょうたんというような合い言葉がしきりと言論界には説かれていた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)