日柄ひがら)” の例文
「——どうぞ此方へ、錢形の親分さんが來て下さるなんて、まア、何んていふ良いお日柄ひがらでせう、さア、さア」
なしもし御承知なら御世話せんといふに此時娘も兩親ふたおやはなれ一人の事なれば早速承知し萬事頼むとの事故相談さうだんとみ取極とりきまりて感應院は日柄ひがらえらみ首尾よく祝言しうげん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かつまたこれまでのこよみにはつまらぬ吉凶きつきやうしる黒日くろび白日しろびのとてわけもわからぬ日柄ひがらさだめたれば、世間せけんこよみひろひろまるほど、まよひたねおほし、あるひ婚禮こんれい日限にちげんのばし、あるひ轉宅てんたくときちゞ
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
「イヤ、もらう気はしない、先妻が死んで日柄ひがらが経たないうちに、どんな美人があるからッて後妻を貰う気になれるかい、」と喪くなった醜い犬を追懐して惻々そくそくの情に堪えないようだった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)