イハ)” の例文
旧字:
農村を荒さないやうに御霊ゴリヤウの一種になつてゐた曾我殿原トノバラの霊をイハひ鎮める、——念仏狂言にも近いものを行つて居たものであらう。
芸能民習 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
八十日々ヤソカビはあれども、今日の生日イクヒ足日タルヒに、出雲国造クニノミヤツコ姓名恐み恐みも申したまはく……手長タナガの大御世をイハふとして……」
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此は、鵠に内在する威霊を、聖躬にイハひこめようとするので、其を日常眺めて魂の発散を圧へようと言ふのである。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ことほぎの芸能化したのは、古いことであつて、我々には何時と定めることは出来ないが、其古い頃から既に採桑老でない仮面をつけてイハひのニハに現れたのである。
万葉集巻十四の二首の東歌「にほとりの葛飾早稲をにへすとも、そのカナしきを、に立てめやも」「そや。此屋の戸オソぶる。にふなみに、我がをやりてイハふ此戸を」
まれびとの歴史 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
姫社郷の山途ヤマト川の(川口か)の西に、荒ぶる神が居て、道行く人をとり殺すので、其訣を占ふと、筑前宗像郡の人珂是胡カゼコに、自分をイハはせれば、穏かにならうとあつた。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
……堅磐常磐カキハトキハイハひまつりて、いかし御世に栄えしめまつり、康治元年より始めて、天地日月と共に、照しアカらしましまさむことに、本末モトスヱ傾かず、いかしほこのナカり持ちて
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
畢竟霊魂の遊離を防いで、イハシヅめるのだから、怒り・嫉みを静平にし、病気を癒し鬱悒を霽らす——霊魂を鎮めることゝ、呪ひを行ふことゝが、一続きの呪術だつたのである。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
そや。このオソぶる。新嘗ニフナミに、我がりて、イハふ此戸を(万葉集巻十四)
古代生活に見えた恋愛 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其或物は家と縁遠い神々・精霊を竿頭にイハひこめて居なかつたとも限らぬ。
まといの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
の戸おそぶる。にふなみに、わがをやりて、イハふ此戸を
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此歌の意も、神をイハふと言ふ様にならないでよくワカる。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此家のオソぶる。新嘗ニフナミに我がをやりて、イハふ此戸を
方言 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
家場中ニハナカのあすはの神に 木柴コシバさし、我はイハはむ。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)