數珠じゆず)” の例文
新字:数珠
「とに角、三浦屋のお職まで張つた女が、袈裟けさを掛けて數珠じゆず爪繰つまぐり乍ら歩くんだから、ぞうの上に乘つけると、そのまゝ普賢菩薩ふげんぼさつだ」
ねずみのぐたりとした帽子ばうしかぶつて、片手かたてつゑみぎ手首てくびに、赤玉あかだま一連いちれん數珠じゆずにかけたのに、ひとつのりん持添もちそへて、チリリリチリリリと、おほきつてらし
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
六郎 この三人を數珠じゆずつなぎにして、南の御奉行所へいて行くのだ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
振り返つてクワツと眼を剥いたのは、五十近い修驗者しゆげんじや、總髮に兜巾ときんを頂き、輪袈裟げさをかけて數珠じゆずを押し揉む、凄まじい髯男です。
「それ、山伏やまぶしつぱ山伏やまぶしなり、なん殊勝しゆしようなか。」と威張ゐばつて、兜巾ときんかたむけ、いらたかの數珠じゆずみにんで、いのるほどに、いのるほどに、いのればいのるほど、おほききのこの、あれ/\おもひなしか
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
妾のお源は殊勝らしく數珠じゆずなど爪繰つまぐつてをりますが、身體は思ひの外立派で、ずゐぶん半盲の大男一人を、殺せないことはないかも知れません。
猛烈に暴れるのを縛つて、續いて江崎屋の清五郎を、それから——年増藝者のおりんとお袖とを、四人數珠じゆず繋ぎにして、その朝のうちに送つてしまつたのです。
數珠じゆずを首に卷いて經帷子きやうかたびら、不氣味な白い眼をいて、凄まじい死に顏ですが、五十五といふにしては達者な老人で、小造りながら筋骨きんこつたくましく、不意を襲はれなければ
隣りの部屋の寶雲齋は、數珠じゆずを押し揉み押し揉み、勝ち誇つた調子で、祈り續けて居ります。
「あつしがゐさへすれば、黒雲五人男を數珠じゆずつなぎにしますよ。癪にさはることに昨日友達五六人と川崎へ行つて、一と晩飮み明かして、朝がけに歸つて來ると、大變な騷ぎぢやありませんか」
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
鐵童はさう言つて、目の前で數珠じゆずを振るのです。