“散(ちらば)” の例文
お手(て)が障(さは)つた所(ところ)だけは刺(さ)しましても痛(いた)みませぬ、竹箒(たけばうき)で引払(ひツぱた)いては八方(ぱう)へ散(ちらば)つて体中(からだぢう)に集(たか)られては夫(それ)は凌(しの)げませぬ即死(そくし)でございますがと、微笑(ほゝゑ)んで控(ひか)へる手(て)で無理(むり)に握(にぎ)つて貰(もら)ひ、つか/\と行(ゆ)くと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
この裏を行抜(ゆきぬ)けの正面、霧の綾(あや)も遮らず目の届く処に角が立った青いものの散(ちらば)ったのは、一軒飛離れて海苔粗朶(のりそだ)の垣を小さく結った小屋で剥(む)く貝の殻で、その剥身(むきみ)屋のうしろに、薄霧のかかった中は
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)