救主すくいぬし)” の例文
わが救主すくいぬしよ、なんじはこの危険より余を救いたまいたり、人聖書を以て余を責むる時これが防禦に足るの武器は聖書なり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
この青年こそ黄泉よみじから派遣された彼の救主すくいぬしではないかと思われた。張りつめていた心が、隅からほぐれて行って、すがりつき度い様な、甘い涙がこみ上げて来た。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
これはイエスがユダヤ人の救主すくいぬしであることをユダヤ人に示すという目的をもって書かれたのであります。
この運命から僕を救い得る人があるなら、僕はつつしんでおしえを奉じます。その人は僕の救主すくいぬしです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
されど心の眼さときものは肉にらずしてただちに愛の隠るる所を知るなり。聖処女の肉によらずして救主すくいぬしはらみ給いしごとく、なんじら心の眼さときものは聖霊によりて諸善のはらたるべし。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「僕は信者だから、基督以外に救主すくいぬしはないと思っている」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
イザヤ書の如きは、その第五十三章の救主すくいぬし予言を以て光明の絶頂に達したのである。しかるにこれを以てイザヤ書は終らずして、六十六章まで続いている。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
自分を霊の救主すくいぬしとして信ぜず、政治的の王として擁立しようとするのだ。なんというへだたりであろう。なんという無理解であろう。彼らには自分の心が少しも通じていないのだ。
故に悲痛なる文字を衣とするのである。またキリスト出現前のキリスト探究史なる故にある意味において救主すくいぬし出現の予表であり、福音以前の福音であるのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
イエスはイスラエルの救主すくいぬしすなわち新郎はなむことして現に来ているのだから
救主すくいぬしの神性、その再臨、信者の復活をヨブの右の語に読みてあやまらないと思う。そしてこれを以てかならずしも新約的意味をいて旧約聖書の解釈に用いたと難ずべきではない。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
然り余は信ず余の救主すくいぬしは死より復活したまいしを、義人ぎじんを殺してその人死せりと信ぜし猶太人ゆだやびとのあさはかさよ、何ぞヒマラヤ山をたたいて山くずれしと信ぜざる、余が愛するものは死せざりしなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)