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擂盆
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すりばち
纒ひて其
容賤げなれども昔し
由緒ある者なるか
立擧動は
艷麗にて縁側へ出
擂盆の手水鉢より水をすくひ手に
注しは縁の
端男は手をば洗ひながら見れば娘は
比ひ
稀なる美女にて有れば是までは女を
廣さは
直徑三十ヤード
位、
深さは
僅か一
丈にも
足らぬ
程だから、
鐵檻車の
屋根へ
上つたら、
或は
穴の
外へ
飛出す
事も
出來るやうだが、
前にも
云つた
樣に
擂盆の
形をなした
穴の
四邊は
實に
細微なる
砂で
鐵車は、
擂盆のやうな
形をした
巨大な
穴の
中へ
陷落して
居つた。