折曲おりまが)” の例文
上框あがりぐちが三畳で、直ぐ次がこの六畳。前の縁が折曲おりまがった処に、もう一室ひとま、障子は真中まんなかで開いていたが、閉った蔭に、床があれば有るらしい。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
入側いりがわ付きで折曲おりまがって十二畳敷であります、肱掛窓ひじかけまどで谷川が見下みおろせる様になって、山を前にしてい景色でございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私の家族うちは御飯のとき、向側の角が祖母、火鉢をはさんで父、すこしはなれて母、母の横から小さい姉妹が折曲おりまがって、祖母の前が丁度私の居場所になる。みんな、各自めいめいのお膳を行儀よくひかえる。
と廊下で別れて、一人が折曲おりまがって二階へ上る後から、どしどし乱入。とある六畳へのめずり込むと、蒲団も待たず、半股引はんももひきの薄汚れたので大胡坐おおあぐら
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人が来たかと驚き慌てゝ丈助はバラ/\/\と須崎の土手を折曲おりまがって逃げてしまう。
くだんの楓を左の方に低くながめて、右へ折曲おりまがってもう一谷戸ひとやと、雑木の中を奥へ入ろうとする処の、山懐やまふところの土が崩れて、目の下の田までは落ちず、こみちの端に、抜けた岩ごと泥がうずたかかった。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
只だ窓々に鉄網かなあみが張ってあるだけの事、また屋敷の向う側の土手に添うて折曲おりまがった腰掛がありまして、丁度白洲しらすの模様は今の芝居のよう、奉行のうしろにはふすまでなく障子がはまっていまして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
店のとこは土間になって居りまして、折曲おりまがって内へ入るんでがすが、土間へは、まきを置いたり炭俵を積んどくですが、二間ぐれえはごぜえます、庭もちっとばかりあって、奥が六畳になって
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうも真実ほんと虚言うそか旦那さまのお心持が聞きたいと思ったのでございましょうか、今そっと抜足を致して玄関の式台を上り、長四畳へ這入って参り、折曲おりまがって入側の方へ附いて来ます途端に
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)