-
トップ
>
-
打付
>
-
うちつけ
打付に過ぎし
言を二人ともに快からず思へば、
頓に
答は無くて、その場の
白けたるを、さこそと
謂はんやうに直行の
独り笑ふなりき。
如何に答ふべきか。
気をつけて見れば見るほどどうも
可怪いようにも思われたので、私はいっそ本人に
対って
打付に
問い
糺して、その疑問を解こうかとも思ったが、
可哀そうだからお
止しなさいと妻はいった。
と見る/\面色赤くなり青くなり新聞紙
引裂捨て
何処ともなく
打付たり。
身に付ゐたるが天神丸の巖石に
打付られし
機會に
遙の岩の上へ打上られ
暫は
正氣も有ざりける
稍時過て心付
拂と一
息吐夢の覺し如く
然にても船は如何せしやと
幽かに
照す
宵月の光りに
透し見ば廿人の者共は如何にせしや一人も
影だになし
無漸や
鯨魚の
餌食と成しか其か中にても
我獨辛も
命助かりしは