打付うちつけ)” の例文
打付うちつけに過ぎしことばを二人ともに快からず思へば、とみいらへは無くて、その場のしらけたるを、さこそとはんやうに直行のひとり笑ふなりき。如何いかに答ふべきか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
気をつけて見れば見るほどどうも可怪おかしいようにも思われたので、私はいっそ本人にむかって打付うちつけただして、その疑問を解こうかとも思ったが、可哀かあいそうだからおしなさいと妻はいった。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と見る/\面色赤くなり青くなり新聞紙引裂ひきさき何処いづくともなく打付うちつけたり。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
身に付ゐたるが天神丸の巖石に打付うちつけられし機會はずみはるかの岩の上へ打上られしばし正氣しやうきも有ざりけるやゝときすぎて心付ほつと一いきつきゆめの覺し如くさるにても船は如何せしやとかすかにてら宵月よひづきの光りにすかし見ば廿人の者共は如何にせしや一人もかげだになし無漸むざん鯨魚くぢら餌食ゑじきと成しか其か中にてもわれひとりからくいのちたすかりしは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)