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戰々
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わな/\
見るに
折節土藏の
普請にて
足代の掛り居たれば
是僥倖と其足代より
登りしが
流石我ながらに
怖ろしく
戰々慄々を
願ふことはよもあるまじ然らば憑司は
疑ひなきにあらじ依て
手錠申付ると有ければ憑司は
戰々慄ひ出し何か云んとする所だまれと一
聲叱られて
蹲踞しぞ
笑止なる又大岡殿は榊原家の
留守居へ向はれ此度の一條
吟味懸り三人の役人は其方へ
屹度預け
追て呼出すべしと
言渡されたり
己れ此上にも
僞らんとならば水火の責に
掛て
言する
何じやと
仰せに
流石の庄兵衞も
驚き
色蒼然戰々慄ひ出だし一言の答へもなし大岡殿何じや己れ
罪に
伏せしやと云るゝ時庄兵衞は
猶も
遁るゝだけ
脱れんと思ひ私し
全然樣なる覺えは之なしと申により大岡殿
斯兩人は罪に
伏したれ共此上にも
爭は