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つきもの
ふりがな文庫
“
憑物
(
つきもの
)” の例文
憑物
(
つきもの
)
のある病人に百万遍の景物じゃ、いやもう泣きたくなりまする。はははは、泣くより
笑
(
わらい
)
とはこの事で、何に就けてもお客様に御迷惑な。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
露骨に云えば
誑
(
たぶら
)
かされていたのだ。だが今は正気となった。
憑物
(
つきもの
)
は離れてしまった。ああそれにしても
纐纈
(
こうけつ
)
布は、なんと俺には宿命であったろう
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「よく、さう大變の
憑物
(
つきもの
)
が落ちないんだね。三日に一度くらゐづつは、そいつに
脅
(
おびや
)
かされるぜ」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
由井の家の娘には何かの
憑物
(
つきもの
)
がしているか、さもなければ由井の家に何か祟っているのであろうという噂が、それからそれへと拡がって行くので、親たちもそれを気に病んで
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わたくしが何と申上げる言葉もないままでおりますと、松王様は
尚
(
なお
)
もつづけて、お
口疾
(
くちど
)
にあとからあとから
溢
(
あふ
)
れるように、さながら
憑物
(
つきもの
)
のついた人のようにお話しかけになります。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
ああ、おそろしい。
憑物
(
つきもの
)
や物の
怪
(
け
)
ではなく、
祟
(
たた
)
りをなさる御神であらせられるのに、どうして私
風情
(
ふぜい
)
のものがこれを調伏申しあげることができようか。もしこの手足がなかったら、きっと命を
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
茶店の婆さんはこの邸に
憑物
(
つきもの
)
の——ええ、ただ聞きましたばかりでも、成程、浮ばれそうもない、
少
(
わか
)
い仏たちの
回向
(
えこう
)
も頼む。ついては
貴下
(
あなた
)
のお話も出ましてな。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたくしが何と申上げる言葉もないままでをりますと、松王様は
尚
(
なお
)
もつづけて、お
口疾
(
くちど
)
にあとからあとから
溢
(
あふ
)
れるやうに、さながら
憑物
(
つきもの
)
のついた人のやうにお話しかけになります。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
娘に何かの
憑物
(
つきもの
)
がしてゐるならば、その形は見えずとも
其
(
その
)
影があり/\と映る
筈
(
はず
)
である。その娘に狐が憑いてゐるならば、狐の影がうつるに相違ない。鬼が憑いてゐるならば鬼が映る。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「もう少し落着いて話せ。お前の樣子はまるで三千兩の
憑物
(
つきもの
)
がしてゐるやうだぞ」
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おなじように、
憑物
(
つきもの
)
がして、魔に使われているようで、手もつけられず、親たちがうろうろしますの。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「もう少し落着いて話せ、お前の様子はまるで三千両の
憑物
(
つきもの
)
がして居る様だぞ」
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
重荷をおろしたような、
憑物
(
つきもの
)
に離れたような心持で、平吉は自分の家へ帰った。しかもかれはまだ落ちついてはいられなかった。かれはすぐにまた飛び出して、近所の時借りなどを返してあるいた。
放し鰻
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
狐狸や、いや、あの、
吠
(
ほ
)
えて飛ぶ処は、
梟
(
ふくろ
)
の
憑物
(
つきもの
)
がしよった、と皆
気違
(
きちがい
)
にしなさいます。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何んだ、相變らず大變な
憑物
(
つきもの
)
がしたやうぢやないか」
銭形平次捕物控:171 偽八五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
憑物
(
つきもの
)
でも放れて行ったように思うんですが、こりゃ何なんでしょう、いずれその事に就いてでしょうよ、」と
微
(
かす
)
かに
笑
(
えみ
)
を含んで、神月は
可愧
(
はずか
)
しげに上人が白き
鬚
(
ひげ
)
ある
棗
(
なつめ
)
のごとき
面
(
おもて
)
を見た。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お豊は
憑物
(
つきもの
)
を振り払うように、身を顫わせました。
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「何か
憑物
(
つきもの
)
でもしたというのか、暮し向きの屈託とでもいう事か。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
憑
漢検1級
部首:⼼
16画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“憑”で始まる語句
憑
憑依
憑付
憑着
憑拠
憑司
憑入
憑移
憑神
憑座