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悠揚
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ゆうよう
ふりがな文庫
“
悠揚
(
ゆうよう
)” の例文
人に聴かせるならもっと出て来てもよいに、自分はこんな谷陰の蘆の中に隠れて、しかも
悠揚
(
ゆうよう
)
とした挙動で澄まし込んで啼いている。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その日の話し手
桜井作楽
(
さくらいさくら
)
は、近頃では珍らしい和服姿——しかも十徳を着て頤髥を生やした、異様な
風体
(
ふうてい
)
で、いとも
悠揚
(
ゆうよう
)
と演壇に起ったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大男は不器用に和服の羽織
袴
(
はかま
)
をはき、あたりを圧するほどの
悠揚
(
ゆうよう
)
さでギゴチなくそこにすわると軽く頭を下げた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
眼を開いたまま眼を
醒
(
さま
)
して、一ところに
固
(
かたま
)
っていた二ひきが
悠揚
(
ゆうよう
)
と連れになったり、離れたりして
遊弋
(
ゆうよく
)
し出す。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
悠揚
(
ゆうよう
)
せまらぬ楽天的な
大人
(
たいじん
)
の風格をもちながら中々の毒舌家であるステファーノヴィチといふ会計課長だの
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
雪に足跡の残ることを心づいていたればこそ、騒がずに
悠揚
(
ゆうよう
)
と構えて、追いかけようともしなかったのです。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
悠揚
(
ゆうよう
)
迫らざるもの。それこそこの退き口の大事であるばかりでなく、次の軍への備えであるといった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三四郎はいまいましくなった。そういう時は広田さんにかぎる。三十分ほど先生と相対していると心持ちが
悠揚
(
ゆうよう
)
になる。女の一人や二人どうなってもかまわないと思う。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
同志は
悠揚
(
ゆうよう
)
として死についた。俺は死にぞこないのおもいを心から消すことができなかった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
踊りに伴って鳴る楽器が春にふさわしい閑雅な音をただよわす。
胡弓
(
こきゅう
)
、長鼓、太胡、笛、
笙
(
しょう
)
の五器がそれぞれの響きを
悠揚
(
ゆうよう
)
な律に調和させて大同江の流れの上へ、響いて行くのである。
淡紫裳
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
その
妖
(
あや
)
しさ、その
悠揚
(
ゆうよう
)
さ、その
鋭尖
(
えいせん
)
さを、目に見、耳に知り、五体に感知するのは今が最初で、しかも、相当の修業者であるとすれば、相手の一身に、みじん、隙も退け目もないのは
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それに、何よりもその
悠揚
(
ゆうよう
)
とした話しぶりが彼には堪え得られないものに思われた。彼には、すべての真理というものがこんな風に流暢に語り得らるべき性質のものでないようにさえ思われた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
悠揚
(
ゆうよう
)
迫らざる演説の抑揚や、ゼスチュアまで、ことごとく完備した型を持っていたが、しかし、それにもかかわらず、どこかに穴のあいたような気楽なところがあり、そこに自ら巧まざる親和力が
叛骨・中野正剛:――主観的な覚え書き
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
片手の
水差
(
みずさし
)
に汲んで、桔梗に
灌
(
そそ
)
いで、胸はだかりに
提
(
さ
)
げた
処
(
ところ
)
は、腹まで毛だらけだったが、
床
(
とこ
)
へ据えて、円い手で、枝ぶりをちょっと
撓
(
た
)
めた形は、
悠揚
(
ゆうよう
)
として、そして軽い
手際
(
てぎわ
)
で、きちんと
極
(
きま
)
った。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悠揚
(
ゆうよう
)
せまらず、橋をわたり、町の方へ出て行った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
ちゃんと打合せが出来ていたものと見え、すっかり着飾ったベッシェール夫人は芝居の揚幕の出かなんぞのように
悠揚
(
ゆうよう
)
と壁に
剔
(
く
)
ってある庭の小門を開けて現われた。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして
悠揚
(
ゆうよう
)
とそこの泉水で面を洗うと、りりしくもくっきりとした美丈夫の姿と変わったのです。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今の東京にいる者に
悠揚
(
ゆうよう
)
な絵ができるものか。もっとも絵にもかぎるまいけれども。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
浪人者は自分の家でも入るような
悠揚
(
ゆうよう
)
さで平次の向うへ、どかりと腰を据えました。煮締めたような畳、
煎餅蒲団
(
せんべいぶとん
)
、
行灯
(
あんどん
)
の灯が、トロトロと居眠りして、汚くはあるが、親しみ深い庶民的な趣です。
銭形平次捕物控:243 猿回し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
玄徳は、たえず微笑をもって、
悠揚
(
ゆうよう
)
と、座につきながら
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを
悠揚
(
ゆうよう
)
として近づぎながら、えり首つかんでぐいと起こすと、右門は静かにいいました。
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
主人岩太郎は
悠揚
(
ゆうよう
)
と毒を言いながら、杯を受けております。
銭形平次捕物控:245 春宵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかりすてると、伝六がやきもきするのもまんざら無理はあるまいと思われるのに、右門はいたって
悠揚
(
ゆうよう
)
と春雨の優雅を愛しながら、ご番所のほうへ歩を運ばせてまいりました。
右門捕物帖:13 足のある幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
右門は災難に会った一家の者に
悠揚
(
ゆうよう
)
として黙礼を残しながら立ち去ると、門を出たそこの路地口のところで、いったとおりあごひげをまさぐりまさぐり、伝六のかえりを待ちうけました。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
だが、右門はいたって
悠揚
(
ゆうよう
)
としたものでした。
右門捕物帖:13 足のある幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
“悠揚”の意味
《名詞》
悠揚(ゆうよう)
ゆっくりとあがること。
ゆったりとして落ち着いていること。
(出典:Wiktionary)
悠
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
揚
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
“悠揚”で始まる語句
悠揚迫
悠揚莞爾