復讐しかえし)” の例文
「おらあ今、肚を決めた。てめえと武蔵とが、俺の生涯を誤らせたのだから、おれも生涯、てめえと武蔵とに、復讐しかえししてやるのだ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう一度石にくいついても恢復なおって、生樹なまきを裂いた己へ面当つらあてに、早瀬と手を引いて復讐しかえしをして見せる元気は出せんか、意地は無いか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
復讐しかえしは簡単だよ。これから人間の画かきどもが何を描こうとも、おれ達はわざと気づかないふりをしてぽうを向いているんだ。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
「それから彼奴あいつは妾にも仇だ。先刻さっき妾を突き倒して、半殺しの目に逢わした奴だ。お前達は復讐しかえしをしておれ。頼んだよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
何とかして復讐しかえしをしなければ引込みの付かない形になってしまっているのであったが、しかしそこがチャンチャン坊主と云われた源次の特徴であったろうか
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
だからむらじゅうでは、その乞食こじきをにくまないものがない。けれど、しかるとかえって復讐しかえしをするので、だれもおそれていた。乞食こじきは、よるになってもめてくれるものがない。
つばめと乞食の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
復讐しかえしがこわいから、覚えてるがいい
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
「おれは復讐しかえしをするんだ」
乞食 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
『そんな事を云って、又わたくしの気をにぶらせ、真綿で首をくくるように、じりじりと、復讐しかえしなさるので御座いましょう』
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一方に、それは北海道名物の、監獄部屋から脱出した人間が、復讐しかえしを恐れて隠れているのだ……といったような穿うがった説が出るかと思うと、イヤそうではあるまい。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ほんとうに忌々いまいましいたらありゃしない。ひとの失敗しくじりを自分の幸福しあわせにするなんて。今度出逢ったが最後、この剣でもって思いきりみなの復讐しかえしをしてやらなくっちゃ。」
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
復讐しかえしは大好き——しっかりその銅像の目をお打ちなさいよ。
だが、おぬしの実力を知っているので、その復讐しかえしを、宝蔵院の手でさせてやろう、こう、うまいことを彼奴きゃつらは考えた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「じゃ、どうすればいいんだ。復讐しかえしもしないで黙って待っていろというのか。」
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
今。御城門へ訴えて来た、萩井十太夫殿のお娘——小夜どのがそう申すのじゃ。しかも、その訴えによれば、平四郎自身が、小夜どのに、自己のやった復讐しかえし
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
咬まれただけで、俺の恥でもなければ、俺の戦法が悪くて負けたわけでもない。従って俺の部下は、なおのこと、この復讐しかえしを誓っても、この孟獲を見捨てるようなことは断じてないのだ
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……だけど、あまりといえば憎い奴——悪い代官——それにおれが恩人とも思っている山吹さまを、ひどにあわすので、つい復讐しかえしをしてやる気になったんです、悪いことは重々じゅうじゅう知っておりましたが
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「金になるばかりでなく、復讐しかえしにもなる、いわば一挙両得なんで」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
復讐しかえしに来たな)という恐怖だった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『——復讐しかえし?』
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)