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帷帳
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とばり
ふりがな文庫
“
帷帳
(
とばり
)” の例文
部屋のあらゆる部分に懸っている立派な
帷帳
(
とばり
)
は、その源の見出さるべくもない、低い、憂鬱な音楽の
顫音
(
せんおん
)
につれて震えていた。
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
それからその仏壇の奥の赤い
金襴
(
きんらん
)
の
帷帳
(
とばり
)
を引き開いてみると、茶褐色に古ぼけた人間の頭蓋骨が
一個
(
ひとつ
)
出て来たので皆……ワア……と云って
後退
(
あとしざ
)
りした。
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
芯を
剪
(
つ
)
まない蝋燭が仕事をしてゐる内に光が弱り、ものゝ影が私の周りにある
刺繍
(
ぬひ
)
をした古い
帷帳
(
とばり
)
の上に薄暗くうつり、廣い古風な
寢臺
(
ベッド
)
の掛布の裾の方は黒く
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
帷帳
(
とばり
)
を周らした中は、ほの暗かつた。其でも、山の
鬼神
(
もの
)
、野の
魍魎
(
もの
)
を避ける為の燈の渦が、ぼうと梁に張り渡した
頂板
(
つしいた
)
に揺らめいて居るのが頼もしい気を深めた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
静かに来り触れて、我が呼吸を
促
(
うな
)
がす、目を放てば高輪三田の高台より
芝山内
(
しばさんない
)
の森に至るまで、見ゆる限りは
白妙
(
しらたへ
)
の
帷帳
(
とばり
)
の
下
(
もと
)
に、
混然
(
こんぜん
)
として夢尚ほ
円
(
まどか
)
なるものの如し
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
実際ヴォルテーアの
謳
(
うた
)
ったように、神の声と共に
渾沌
(
こんとん
)
は消え、
闇
(
やみ
)
の中に隠れた自然の奥底はその
帷帳
(
とばり
)
を開かれて、
玲瓏
(
れいろう
)
たる天界が目前に現われたようなものであったろう。
科学者と芸術家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
僞善の
帷帳
(
とばり
)
、裂けし響か、雁かねの
小説「墓場」に現れたる著者木下氏の思想と平民社一派の消息
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
帷帳
(
とばり
)
を
周
(
めぐ
)
らした中は、ほの暗かった。其でも、山の
鬼神
(
もの
)
、野の
魍魎
(
もの
)
を避ける為の灯の渦が、ぼうと
梁
(
はり
)
に張り渡した
頂板
(
つしいた
)
に揺めいて居るのが、たのもしい気を深めた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
こればかりは本式らしい金モールと
緋房
(
ひぶさ
)
を飾った
紫緞子
(
むらさきどんす
)
の寝台が置いてあって、女王様のお
寝間
(
ねま
)
じみた
黄絹
(
きぎぬ
)
の
帷帳
(
とばり
)
が、やはり金モールと緋房ずくめの四角い
天蓋
(
てんがい
)
から
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
行手の連峯は雨雲の底面で悉くその頂を切り取られて、山々はたゞ一面に藍灰色の
帷帳
(
とばり
)
を垂れたやうに見えてゐる。その幕の一部を左右に引きしぼつたやうに梓川の谿谷が口を開いてゐる。
雨の上高地
(新字旧仮名)
/
寺田寅彦
(著)
だが——瞬間眶の間から
映
(
うつ
)
つた細い白い指、まるで骨のやうな——
帷帳
(
とばり
)
を掴んだ片手の白く光る指。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
藤六が居た時のままになっている粗末な仏壇の前に坐って、赤い
金襴
(
きんらん
)
の
帷帳
(
とばり
)
の中から覗いている茶褐色の頭蓋骨を仰ぎながら、何かしら訳のわからぬ事をブツブツと唱え初めた。
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
松本から
島々
(
しましま
)
までの電車でも時々降るかと思うとまた
霽
(
は
)
れたりしていた。行手の連峰は雨雲の底面でことごとくその頂を切り取られて、山々はただ一面に
藍灰色
(
らんかいしょく
)
の
帷帳
(
とばり
)
を垂れたように見えている。
雨の上高地
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
帷帳
(
とばり
)
は元のまゝに垂れて居る。だが、白玉の指は、細々と其に絡んでゐるやうな気がする。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
“帷帳”の意味
《名詞》
垂れ絹。とばり。
陣営など幕を張り、作戦計画を立てる所。
(出典:Wiktionary)
帷
漢検1級
部首:⼱
11画
帳
常用漢字
小3
部首:⼱
11画
“帷”で始まる語句
帷
帷子
帷幕
帷幄
帷中
帷衣
帷張
帷越
帷巾
帷布