差出人さしだしにん)” の例文
「だれから、きたのでしょうね。」と、おかあさまはいって、差出人さしだしにんまえをごらんなさったが、きゅうに、れやかな、おおきなこえ
青い花の香り (新字新仮名) / 小川未明(著)
へんだねえ、なるほどねえ。」「何でも五回か六回かそんなことがあったそうです。そしたらある日署長しょちょうのとこへ差出人さしだしにんの名の書いてない変な手紙が行ったんです。 ...
バキチの仕事 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
規則きそくだから警察けいさつとゞけることとゞけたが、じつ大分だいぶふる時計とけいなので、られても夫程それほどをしくもないぐらゐあきらめてゐたら、昨日きのふになつて、突然とつぜん差出人さしだしにん不明ふめい小包こづゝみいて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
差出人さしだしにんの名は書いてないが、透明人間、すなわちグリッフィンからの手紙にちがいなかった。
しかし今夜は此等これらの光景も彼を誘引いういんする力が少しもない。机の上に置いてある彼が不在中に来た封書や葉書はがきを手早く調べた。其中そのうちに一通差出人さしだしにんの姓名の書いてない封書があつた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
その頃、金博士の許へ、差出人さしだしにんの署名のない一通の部厚い書面が届いた。
それも差出人さしだしにんとはせいのちがった宛名あてなが多かったようだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
差出人さしだしにんの名前は、忘れていた、いつぞやの青年である。油紙を解いて新聞紙をぐと、中から一羽の山鳥が出た。手紙がついている。そののちいろいろの事情があって、今国へ帰っている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「その密書の差出人さしだしにんは誰か。また受取人は誰なのか」
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)