左方さほう)” の例文
遥か左方さほう、入りくんだ海をへだてて、水晶の数珠玉をつらねたように、の輝いているのが、今、銀座のように雑沓しているであろうY海岸であった。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
頂上ちようじようからえず蒸氣じようき火山灰かざんばひによつてぐにそれがヴェスヴィオなることがづかれるが、それと同時どうじ今一いまひと左方さほう竝立へいりつしてえるとがつたやま見落みおとしてはならぬ。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
いま弦月丸げんげつまる側面前方そくめんぜんぱうやく米突メートル以内いない接迫せつぱくきたつた海蛇丸かいだまるは、忽然こつぜんその船首せんしゆ左方さほう廻轉くわいてんするよとに、そのするど衝角しようかくあたか電光石火でんくわうせきくわごとく、本船ほんせん中腹ちうふく目撃めがけてドシン※
左方さほうに立つがけの側面をえがくに北寿は三角形の連続を以てし、またそのふもとよこたわる広き畠をばと緑と褐色の三色を以て染分けたる格子となし、これを遠近法によりて配列せしめたる事なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)