左側さそく)” の例文
あの晩六郎氏は、Uの右端上部を出て、Uの底の左側さそくまでやって来て、そこで春泥の為に殺害されたと、我々は今の今まで信じていた。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
外観の配色は柔かい白と緑とより成り、何となく木造の感をおこさせるがすべて石造だ。その左側さそくの鐘楼もまた荘麗である。予はしば/\この門前を徘徊はいくわいして帰るに忍びなかつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
十九にち雨中うちうを、つてて、おどろいた。いままでの貝塚發掘かひづかはつくつ臺地だいち東部とうぶさか上部じやうぶ左側さそくであつたが、臺地だいち南側なんそく下部かぶ菱沼鐵五郎ひしぬまてつごらう宅地たくちまえはたけを、大發掘だいはつくつしてある。
木隠こがくれが右へまわれば右へ、半助が左側さそくをねらえば左側の目ばしこい小姓たちの眼が光ってうごく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左側さそくの席の前端まえはしに並びたる、威儀ある紳士とその老母とは、顔を見合わせてたがいに色を動かせり。渠は質素なる黒の紋着きの羽織に、節仙台ふしせんだいはかま穿きて、その髭は弁者より麗しきものなりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道路どうろ左側さそく工場こうばツてゐるところた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)