むすめ)” の例文
旧字:
休題さておき、南町の桐楊塾は、監督が祖母さんで、同窓がむすめたちで、更にはばかる処が無いから、天下泰平、家内安全、鳳凰は舞い次第、英吉は遊び放題。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ぢや、吾妻、彼奴きやつが山木のむすめを誘惑して、其の特別財産を引き出す工夫してると云ふのは、ありや真実ほんたうどうだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
かたわらに坐したるは。前のむすめにくらべては。二ツばかり年かさにやあらん。鼻たかくして眉ひいで。目は少しほそきかたなり。常におさんには健康を害すなどいいてとどめたまう。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
「こら、お豊何をふくれるのだ? ふくれるとむすめっぷりが下がるぞ。何もそう不景気な顔をせんでもいい、なあお豊。おまえがうれしがる話があるのだ。さあ話賃に一杯げ注げ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
てめえ四万に居やアがった時に何と云った、瀧川左京と云う旗下のむすめでございますが、兄にだまされてと涙をこぼしたをに受けて、わしは五十円と云う金を出し、汝を身請して橋場の別荘へ連れてッて
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
養母おつかさん、わたしを食つた其鬼が、お前の難有ありがたがる大臣サ、総理大臣の伊藤ツて人鬼サ、——私もネ、其れまでは世間なみの温順おとなしむすめだつたことを覚えてますよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
はて、教頭ほどの者が、こんな訳ではないはずだが、とあらためて疑の目を挙げると、脊もすらりとして椅子に居る我を仰ぐよ、酒井のむすめは依然として気高いのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕が最初篠田と山木のむすめと、不正な関係がある様に虚誕うそを報告して置いた結果で仕方ないですが——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
かれもと旗本のむすめなりき、幼にして両親を失い、嫁して良人おっとを失い、人に計られてたからを失い、餬口ここうのために家を失い、軒下に眠ること実に旬余、辛酸を喫してしゃくに閉じられてすでに絶せんとせるとき
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)